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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

昭和の東京都電車物語 路地の佇まい

昭和の路地は子供たちの遊び場だった
路面電車が幾つもの路地を抜けてゆく

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1976年6月 都電荒川線

昔は東京都心にも、こんな路地が至る所にあった。公園などという気の利いたものが少なかった時代、路地は子供たちの遊び場だった。学校の放課後には、薄暗くなるまで子供たちの歓声が響いていた。そんな路地には必ずと言っていいほど駄菓子屋があり、餓鬼の溜まり場になっていた。右角の店はそんな匂いのする店だ。店先のコカ・コーラはまだ瓶の時代で、栓抜きが付いている。

その店には、カンガルーマークのエーキドーパンの看板が掛かっている。近頃あまり聞かなくなった名だが、ネットで調べると、現在もしっかり営業を続けている。その会社の名は株式会社栄喜堂というが、どうやら今は、企業向けのパン、ケーキの冷凍中間製品に徹しているようだ。その世界に、そんな裏技があるとは知らなかった。イチゴをのせればショートケーキの出来上がりなんてことも。

そして、何といっても中華料理の大衆食堂だ。決してレストランなどと呼んではいけない。中華街のような立派なメニューを期待してもいけない。あるのは大概、ラーメンとチャーハン、かに玉くらいで、何故かカレーライスもあった。そして、麒麟だの、星だののビール会社のマークの入ったコップで水が出てくる。こんなラーメンマーク?の縁取りのある暖簾が揺れているのを見ると、何とも郷愁を誘う。


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  1. 2018/06/18(月) 00:00:00|
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昭和の東京都電車物語 王子駅前

夕方になり、国電からの乗換客が増えてきた
家路に向かう乗客で、小さなホームが賑わう

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1976年6月 都電荒川線 王子駅前

1960年代に、エノケンの「うちーのテレビにゃ色がない 隣のテレビにゃ色がある♪」というCMソングが流行った。三洋カラーテレビの宣伝だ。世間は高度成長期。東京オリンピックをカラーテレビで観戦しようと、お茶の間のテレビがカラー化されていった。ゴールデンタイムには、クレイジーキャッツやドリフターズのドタバタ喜劇や、スポ根アニメの「巨人の星」が流れていた。写真の頃には、そんなお茶の間テレビ時代も終わろうとしていたが、まだナショナルのカラーテレビの広告塔が立っていた。それから半世紀、テレビは受難の時代を迎えた。インターネットの登場で、情報はパーソナル化し、流れてくるものから、取りに行くもの、発信するものとなった。テレビ界では、受像機の分解能だけが独り歩きし、肝心のソフトは置いてきぼりだ。

夕方になり、京浜東北線との乗換駅である都電王子駅前停留所は、ご覧の通りの混雑ぶりだ。この人では乗り切れないかもしれない。まだ高層の建物は見られないが、これから先、地方の人口を日々吸い寄せて、膨張していくことになる。これだけの利用客があったにも関わらず、国や都が廃止しようとしていたとは、とんでもない話だ。廃止されていった他の系統にしても、そこそこの乗客があったはずだ。今の時代、これだけの乗客がいるローカル線を廃止することは難しいだろう。都電は、先見性の無い国が進めるモータリゼーションの犠牲になってしまったということだ。面白いことに、テレビは相変わらずの凋落ぶりだが、路面電車は様々な理由から見直され始めた。こちらには、人にやさしい交通機関としての普遍性があるのだろう。


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  1. 2018/05/13(日) 00:00:00|
  2. 東京都電車
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昭和の東京都電車物語 滝野川一丁目

西日が差し込む街角に簡素な停留所があった
走り抜ける丸味を帯びた都電がとても懐かしい

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1976年6月 都電荒川線 滝野川一丁目

まだこの頃は、製造時のボディのままの7000形が走っていた。停留所はごく簡単な造りの低いホームだけで、雨宿りする屋根もなく、停留所名の標が電柱などに掛けられていた。当時の路面電車やバスの停留所は、概ねそんなものだった。何より、路面電車やバスには車掌が乗務していた時代だ。大きなガマ口のような黒カバンを首から下げた車掌氏が乗車賃を集めていた。この後、7000形はワンマン化のために、新造車体に更新されていった。オールドファンの記憶に残る丸味のある前面二枚窓の哀愁を帯びた車体は、一枚窓の直線的なものになり、荒川線の新しい時代へ引き継がれていった。好き嫌いはさておいて、停留所の女の子のファッショには70年代を感じる。こういう出立を好む一団がいたように思う。食べることだけに追われた時代が終わり、若者が色々な個性の自己表現を始めた頃だ。世の中にカラーテレビが普及し、ビジュアル社会へと突き進んでいった。


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  1. 2018/03/16(金) 00:00:00|
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昭和の東京都電車物語 新庚申塚

昭和の豊島区西巣鴨の街並みだ
看板をチェックするのが楽しい

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1976年6月 都電荒川線 新庚申塚

通称「都電」と呼ばれる東京都電車は、かつては41系統を有する東洋一の路面電車網だった。こあらまが子供だった1960年代には、東京中心部の主要道路の殆どに都電が走っていた。池袋を始発とする17系統池袋線にはよく乗ったものだ。しかし、モータリゼーションの進展を背景とした、収支の悪化と国の施策により、1967年から1972年にかけて、一挙に廃止されてしまった。その発端になった出来事の一つが、1964年の東京オリンピックの開催だった。専用軌道部分が大半で、地元の要望が強く、辛うじて運行が続けられた27系統と32系統の廃止が撤回され、「荒川線」として恒久存続されることになったのは1974年のことだ。

都電が廃止されて行った時期は、ちょうど国鉄から蒸気機関車が消えていった頃と一致する。蒸気が終焉の時を迎え、ふと地元に目を戻すと、見事に都電が消えていた。これはまずいと、残された荒川線を慌てて撮るようになった。そこには、まだ昭和の庶民の生活が垣間見れる東京の情景が残されていた。それから40数年が経ち、今の東京には、都電の代わりに、都心の川を首都高が塞ぎ、何時辿り着くかも知れない高深度に地下鉄が走っている。この街の進化が正しかったのかは甚だ疑問だ。来る2020年には2回目の東京オリンピックが控えている。また同じ轍を踏まないことを願うばかりだ。都電の姿を見るとしみじみそう思う。

不定期で、70年代の昭和の都電荒川線をご紹介していこうと思います。


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  1. 2018/02/12(月) 00:00:00|
  2. 東京都電車
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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