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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

「美馬牛」と云う名の駅

美瑛の丘の中に小さな駅がある
その地名に込められた思いとは

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2017年10月 富良野線 美馬牛

「美馬牛」と云う駅名も、ちょっと旅心を擽るものがある。北海道のこの手の地名は、アイヌ語の当て字と分と分かっていても、表意文字である漢字からは自ずとイメージが湧いてくる。この駅は北海道上川郡美瑛町美馬牛にある。『ピパウシイ(カラス貝の多い川)』というアイヌ語が美馬牛の語源とされる。近年の東南アジアからの美瑛観光客の増加で、この駅に立ち寄る外国人が増えているという。

現役蒸気の頃は、富良野線にはキューロクが走っていたが、残念なことに訪れたことはない。こあらまの美瑛との付き合いは、蒸気全廃後の1977年頃から始まる。美瑛の丘を撮影するためだ。当時は観光地化する前で情報が少なく、国土地理院の地図で地形を想像しながら歩き回っていた。丘の斜面の畑はもっともっと傾斜がきつかったように記憶している。トラクターが斜面を這い回っていた。

そんな撮影行でよく利用したのが美馬牛だった。現在の駅舎は赤屋根の可愛らしいサイズになっているが、当時は有人駅だったのでもっと大きかった。現在の駅舎の左側には駅事務室があったはずで、その部分を減築しサイディングで覆ったのが現行駅舎ではないかと思われる。赤い屋根の向こうには初雪で真っ白になった十勝連峰が連なる。紅葉も相まって何とも美しいコントラストを描いていた。


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2018年10月 美馬牛での列車交換

列車交換で上下の列車が少々停車するが、下車する乗客はいなかった。ただし、観光客と思われる乗客が、停車時間を利用してホームを歩き回ったり駅舎を覗いたりと一時の賑わいがあった。十勝連邦を臨む美馬牛と云う駅名は、観光客にも何か感じさせるものがあるようだ。

観光地化後は立ち寄ることのなくなった美瑛の丘だが、富良野線撮影の折に一巡してみた。とにかく目にするのは中国人観光客だ。畑のあちこちに立入禁止の立て札があるが、お構いなしに記念撮影に興じている。日本人も同じようなもので、農家のおじさんとの大喧嘩にも遭遇した。今、北海道の畑作地帯では観光客の立入が大きな懸案事項だ。大規模な単作では病原体や害虫の侵入が命取りになる。


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2018年10月 白金の青い池

こちらは日本人に只今人気上昇中の美瑛白金の青い池。実はこの池は自然のものではなく、十勝岳の火山泥流を防ぐために美瑛川に造られた堰堤に水が溜まったものだ。この池を最初に世に知らしめたのは、上富良野のプロカメラマンの高橋真澄氏が1998年に出版した写真集とされる。青く見える理由は、日光が差し込んだ際の水酸化アルミニウなどの白色コロイドの光学的な作用による。立ち枯れているのはカラマツ、シラカバなどで、いつかは朽ち果てる運命にある。

またそのうち富良野線には寄ろうと思うが、こあらま的には美瑛の丘は最早現役蒸気と同じ過去の思い出だ。


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  1. 2019/09/08(日) 00:00:00|
  2. 富良野線
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中富良野 晩秋

夕方になって、籾殻焼きの白煙が流れ出した
田園の晩秋を思わせる風景と匂いに包まれた

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2018年10月 富良野線 西中

富良野盆地の中富良野、上富良野には豊かな田園が広がる。この田圃は、1926年5月24日に起きた十勝岳の噴火災害に遭っている。噴火の高熱で解けた残雪が、泥流となって富良野原野を襲った。開墾された田圃は一瞬にして埋まってしまったが、入植者の不屈の復興作業によって緑を取り戻している。その田園地帯は稲刈りも終わって、茶色の刈田が広がっていた。日が西に傾いて来た頃、あちらこちらから籾殻焼きの煙が上がりだし、盆地は白煙とその匂いに包まれた。日が幌内山地の山入端に隠れると、空には淡い茜が広がり、如何にも秋を感じさせる夕暮れ時となった。間もなく、十勝岳の高嶺から厳しい白い冬が降りてくる。そんな季節の分れ目の穏やかな一日が終わろうとしていた。富良野線の気動車は、平坦な田園を軽快に走り抜ける。そして、晩秋の白煙の中へと消えて行った。


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  1. 2018/12/05(水) 00:00:00|
  2. 富良野線
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十勝岳連峰 冬近し

上富良野の丘に美しい秋の田園風景が広がる
十勝岳連峰の高嶺から冬の足音が近づいてきた

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2017年10月 富良野線 上富良野

先日の9月6日の北海道胆振地震では、厚真町で大規模な土砂崩れが発生して、不幸にも多くの人命が奪われてしまった。幸い、こあらまの道内各地の親戚には大きな被害はなかった。しかし、全道で大停電となり、道民全体が不自由な生活を強いられ、今も十分な電力を得られていない。函館に住む義母に電話が繋がったのは、地震発生から3日目のことだった。発生の日の朝に、義母の近所に暮らす叔母とメールで連絡がついていたので、元気にしていることは判っていたが、二晩を懐中電灯と蝋燭で過ごし、電気の有難味を思い知らされたようだ。この大停電が真冬に起きていたら、この程度の混乱では済まなかっただろう。多くの暖房器具は電気制御であり、相当に寒い目に遭っていたはずだ。しかし、苫東厚真発電所の全面復旧は11月以降にずれ込む模様で、内地からの送電も含めて、電力源の模索が今暫く続きそうだ。

写真は、昨年10月半ばの十勝岳連峰だ。今年は大雪山系黒岳では早くも8月に初積雪が記録されている。もうひと月もすれば、北海道では平地でも雪が舞い始める。北海道の電力需要のピークは、最も寒さが厳しい2月だ。東日本大震災の影響で、泊原発が停止して以来、毎冬の電力の需給バランスがひっ迫しているが、この冬はさらに先が見通せない状況に陥っている。今日は、始めて節電目標の20%を達成したとのニュースがあった。さすがに、計画停電は御免だということだろう。ふと、東日本大震災後の計画停電の際、小田急が計画的に区間運休し、電車が走っていた相模川の川向うへと、歩いて橋を渡る人の列ができたことを思い出した。さながら、難民の行列のようだった。自然の猛威の前には、便利で快適な生活など砂上の楼閣だ。何時サバイバルが求められるかもしれない。何時生きる力が試されるやもしれない。


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  1. 2018/09/12(水) 00:00:00|
  2. 富良野線
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パッチワークの丘

段丘の上からパッチワークの丘が始まる
なだらかな斜面に点在する樹木が丘の象徴だ

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2017年10月 富良野線 北美瑛

この辺別川の河岸段丘の上は、一面の畑作地になっている。美瑛の丘がどうやって生まれたのかが分かるような眺めだ。この地で稲作が出来るのは、丘陵に谷を刻む河川沿いの僅かな平地だけだ。何処までもうねうねと続く波状丘陵は、畑作地として開墾されてきた。何時しか、その美しく開放的な景観は、背景の白銀の十勝岳連峰と相まって、「丘の町」として観光客を呼ぶようになった。

丘の末端の段丘崖は、開墾が及ばず、鬱蒼とした森として残されている。勾配を嫌う鉄道は、大半がそんな川筋に沿って走っているため、丘陵の上に出ることはない。そのため、パッチワークの丘と絡めての撮影はとても難しい。ちょっとだけ、丘の上の雰囲気が垣間見れるこの場所も貴重な存在だ。いっその事、流行りのドローンでも使えば、素晴しい丘の町の視界が開けるのかもしれない。


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  1. 2018/08/17(金) 00:00:00|
  2. 富良野線
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富良野の長い道

真っ直ぐな道が富良野盆地を横切っている
間もなく十勝岳連峰の頂から冬が降りてくる

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2017年10月 富良野線 西中

富良野線沿線は、東京などの都市部からの移住者が多い場所だ。十勝岳連峰から大雪山へと連なる山並みの眺めは秀逸だ。大雪山系の東側に位置するために積雪量も多いが、それも移住者にとっては魅力のようだ。積雪地域の方が四季の変化が明瞭で、それぞれの季節に楽しみがあるのだろう。沿線には旭川空港があり、東京へのアクセスも申し分なく、写真家を始めとする多くの芸術家も居を構えている。倉本聰氏もそのお一人で、北海道を舞台とした作品を数多く輩出しているが、その代表作である、富良野の麓郷の生活を描いた「北の国から」が、この地の人気の火付け役と云われている。

この朝の富良野盆地は深い霧に包まれていた。仕方なく、線路近くで朝の列車を見送っていたが、昼近くになってようやく雪を頂く十勝岳連峰が姿を現した。ここまで来て十勝岳を撮らないで帰るわけにはいかない。そこで、富良野盆地の東側の丘を探ってみることにした。この盆地の農地は北海道らしく大きな碁盤の目になっている。真っ直ぐな道が、盆地の反対側の十勝岳連峰の裾野まで続いている。途中に富良野線の踏切が小さく見える。どうしてもこの道を撮りたくなったが、線路の手前には通行量の多い縦道が交差し、観光バスも目に付く。車が来ないことを祈りつつ列車を待つこととなった。


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  1. 2017/12/17(日) 00:00:00|
  2. 富良野線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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