駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

駅舎の灯 五稜郭公園前 17時32分

北の都函館に街の灯が燈った
路面電車のある街並みはこんなにも美しい

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2017年10月 函館市企業局交通部(函館市電)

路面電車にあるのは駅ではなく停留所で、通常は待合のための建屋もないので、「駅舎の灯」というのは些か適切ではないが、そこは雰囲気で受止めて頂きたい。この通称函館市電の正式名称は函館市企業局交通部という。函館に路面電車が走り出して104年になる。1943年11月1日に道南電気軌道が函館市に譲渡され、市電の歴史が始まった。2013年には70周年を迎えている。ここの路面電車もご多聞に漏れず、モータリゼーションの進展と市中心部の空洞化のため、利用者を大きく減らし、路線も最盛期の1/3程になってしまった。かつては、東雲線や宮前線などもあったが、今では2系統だけだ。ところが、ここ数年僅かではあるが回復の兆しが出てきた。旅行客やお年寄りの利用が増えているようだ。赤字体質からの脱却は微妙だが、市民からの支持も得ているので、当面は安泰だろう。

近頃、新たにLRTの導入を検討する自治体が急増中だ。都市内交通としての路面電車の良さが見直されてきているのだろうが、実際に建設するとなるとそう簡単ではない。市民のコンセンサスが得られなかったり、予算が計上できなかったりで、実現させたのは数えるほどだ。そうなると、苦しいながらも路面電車を守り続けてきた都市は鼻高々だろう。何れの街からも廃止の噂が聞こえてこないばかりか、延伸計画が飛び出すほどだ。函館市電でも、湯の川・函館空港間の延伸に多くの市民から要望が寄せられているそうだが、市は及び腰のようだ。早まって、北海道新幹線のために函館駅の改装と再開発に大枚を叩いてしまったことが悔やまれる。空港から市電で市街にアクセスできれば、素晴しい観光都市になることは間違えないが、無理な背伸びは禁物だ。その日が来ることを静かに待とう。

ここ五稜郭公園前は、函館駅前と並んで利用客の多い停留所だ。2015年の改装で千鳥式ホームに変り、少しだけホームにもゆとりができ、自動車車線との隔壁も全面になった。市は地上設備の改良を進めており、順次洒落た停留所に生まれ変わっていくことだろう。秋の日が落ち、すっかり暗くなり、函館の街に灯が燈った。帰宅ラッシュの時間帯を迎え、市電も函バスも甲斐甲斐しく走り回る。路面電車のある街並みは本当に美しい。思わず、こんな街に住んでみたくなるというものだ。東京も路面電車が縦横に走り回る都市だったが、前回のオリンピックの際に多くが廃止に追い込まれた。もし今回、レガシーが必要というのなら、都電を返してほしい。間もなく北の都は雪の季節を迎えるが、この眺めが雪化粧するのを想像してみよう。今や、観光都市函館には市電はなくてはならないものだ。


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  1. 2017/11/13(月) 00:00:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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