駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

棚田のアーチ橋

元はと言えば、鉄骨不足の時代のコンクリート橋
今や、石積み棚田とめがね橋は美しい日本の風景だ

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2017年4月 日田彦山線 筑前岩屋

北から延びる田川線と南からの彦山線が結ばれたのは1956年のことだ。残された彦山-大行司間の山間部が、19年の歳月をかけて掘削された4380mの釈迦岳トンネルと3か所のアーチ橋によって開通し、日田彦山線が形成された。今回は車で大行司から彦山へと抜けた。夜明からゆったりと田園を走ってきた列車は、大行司から峠越えの勾配区間に入る。緩やかな棚田の縁の斜面を、徐々に高度を稼いでいくが、入り込む支流の沢を越えるために、美しいアーチ橋が3か所に設けられている。現役蒸気の頃からの名所だが、今も長閑な景観を色濃く残している。

いよいよ目前に釈迦岳が迫って来ると、筑前岩屋の駅に着く。ホームのすぐ先には釈迦岳トンネルの入口が構えており、抜ければ彦山の駅は直ぐそこだ。竣工当時は九州最長の隧道であり、工期の長さからも難工事だったことが窺える。一方、車道の県道52号線は、釈迦岳直下の斫石峠を目指しての急登が始まる。道は急に離合が困難なほどに細くなり、棚田の中を九十九折りに民家の軒先を掠めるように登って行く。この集落が竹地区で、日本棚田百選の「竹の棚田」である。ちょうど日田彦山線の釈迦岳トンネル入口の直ぐ上に広がる約400枚、11haの棚田だ。

この一帯の棚田の特徴は石積みの畔にある。岩屋という駅名からも、辺りが岩石質の土壌ということなのだろう。ただ、よく観察すると、残念なことに石積みの多くがコンクリートで固められている。今となっては、集落の労力だけでは原形を保つことは叶わなくなったのだろう。田植え体験や火祭りなどのイベントを通して、棚田保全の模索が続けられている。こういった日本の風情ある眺めがあってこそのローカル線だ。棚田を保全することは、古い木造駅舎を守るよりも、桁違いに難しいことだろう。「美しい日本」というのなら、まずは守ることから始めなければ話にならない。


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竹の棚田

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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/06/02(金) 00:30:00|
  2. 日田彦山線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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