駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

夜明の朝Ⅱ

小さな駅で繰り返される乗客の乗降と列車の交換
そこには過ぎし日の懐かしい情景が広がっていた

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1977年8月 久大本線 夜明

寒い日が続いているので、体が温まりそうな長閑な夏の日の朝の情景をお送りしたい。この久大本線の夜明は、最も好きな駅の一つだった。福岡との県境が間近な大分県日田の山間にあり、向かって左手の駅前には筑後川が流れ、その流れに沿って久大本線と二本の国道が走っている。山峡のため、朝には構内に徐々に日が入って来る。風情のある木造駅舎があり、朝夕には色々なキハや旧客列車が見られた。右手の島式ホームの外側の線が日田彦山線のりばで、ホームを出ると写真奥で直ぐに右側に急カーブして、彦山、添田、田川などを経由し、日豊本線の城野に至っている。途中には香春、採銅所といった、嘗ての石炭列車の撮影地の名もある。

さて、この夜明駅は現在どのような姿になっているのだろうか。構内のホームと線路の配置は変わらないようだが、味のある木造駅舎は2010年に建て替えられている。林業の日田というだけあって、幸いにも新駅舎も木造ということだ。一方、写真の背景に広がる日田杉の林は、大分自動車道の法面工事によって台無しになっているようだ。2012年の九州北部豪雨では、この一帯でも大きな被害がでているので、さらなる変貌も危惧される。美しかった夜明がどこまでその景観を維持できているかは定かでないが、近いうちに田川の後藤寺や伊田と併せて再訪したいと思っている。「夜明」という美しい地名は、開墾のための焼畑の「夜焼」からきているということだ。


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  1. 2017/02/04(土) 00:30:00|
  2. 久大本線
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夜明の朝

夜明の駅にも日が差し込みだし、活気に満ちた朝を迎えた
蒸気こそいないが、そこには昭和の匂いのする素朴な風景があった

S00103.jpg
1977年8月 久大本線 夜明

これまで、現役蒸気の時代とデジタルの現代画を中心にアップしてきたが、実は現役蒸気無き後の国鉄を1980年くらいまでは結構撮っていた。現役蒸気の撮影が終了したのが1975年であるから、その後5年間程だった。勿論その時代はフィルムが全盛で、コダクロームが席巻していた時代でもある。ビネガーシンドロームの追撃などもあり、とにかく現役蒸気のフィルムスキャンを優先させてきたため、なかなかその時代に到達できなかったが、やっと少しだけお見せできる状況になってきた。風太郎さんの「たまゆら」の写真展に触発されたこともあり、その時代のスキャンを急ごうとは考えているが、大した作はないので、あまり期待はしないでほしい。

現役蒸気時代にはニコンを中心にしたライカ版のみであったが、この時代には6×7のブローニー版も投入している。月並みではあるが、動きのあるもの、スナップショットなどはライカ版、風景的な静止画はブローニー版を使っていた。当然ながら、機材は大幅に増量、重量化することになったが、さすがに若さというのはありがたいもので、重いザックを担いで歩き回れたということだ。この画はその6×7版だが、ライカ版でしか撮ってこなかったせいもあり、構図の採り方が全くなっていないので、ライカスケールにトリーミングしている。このシーンのモノクロも多数撮っているので、どちらがいいか迷ったが、今回は懐かしいエクタクロームの風合いをお楽しみ頂ければと、こちらにしてみた。

画は朝8時前の通勤通学時間帯の様子だ。かつては豊後森のハチロクが引いていた朝の旧客列車は、既にDE10にバトンタッチされている。左手で排気を上げているのは日田彦山線のキハだ。現役蒸気終焉直後の全国のローカル線には、何か嵐が去った後の空虚感のようなものが漂っていた。カメラを携え撮影に訪れる若者の群れは潮が引くように去って、地元の人たちの日常を支える素朴な駅と列車に戻っていた。蒸気は消えてしまったが、それ以外の昭和の情景は、高度成長時代の波が本格的に押し寄せるまでの少しの間温存されていた。夜明の駅は、相変わらず、豊後杉の山々に囲まれた、風情のある古い木造駅舎が目を引く、とても美しい駅だった。


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  1. 2016/08/31(水) 00:30:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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