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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

三陸縦貫鉄道構想 祝リアス線開業

三陸縦貫鉄道構想は大津波にも負けなかった
営々と続けられた鉄路の延伸は岩手の希望だ

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2016年7月 三陸鉄道 北リアス線 (現リアス線) 堀内 

今春の鉄道界の祝い事として、三陸鉄道リアス線の開業が挙げられる。廃止が続くローカル鉄道の中に在って異例の再出発となった。不通となっていたJR山田線の宮古-釜石間の復旧工事が完成し、2019年3月23日に三陸鉄道に移管された。北リアス線と南リアス線に分かれていた三鉄は、一本のリアス線で大船渡市盛駅と久慈市久慈駅を結ぶ、163.0kmの第三セクター鉄道最長の路線に生まれ変わった。

三陸沿岸を結ぶ鉄道構想は1896年に始まった。しかし、三陸のリアス式海岸がその建設に立ちはだかった。大幹線の東北本線の主要都市から三陸の主要な町々へ向けて官営鉄道、国鉄の鉄路が伸びて行ったが、その地勢故に沿岸部を繋ぐことは困難を極めた。そのため、この三陸縦貫鉄道を形成する国鉄時代の路線は細分化されている。全ての路線を記憶されている方は、かなりの岩手通といえるだろう。

現役蒸気末期の1975年の時刻表の索引地図を見ると、南の仙台から仙石線、石巻線、柳津線、気仙沼線、大船戸線、盛線、山田線、宮古線、久慈線、八戸線と辿って八戸で東北線に再会する。この時点で繋がっていなかったのは、柳津-本吉、吉浜-釜石、田老-譜代の三区間だった。その後、気仙沼線が延伸し、空白だった柳津-吉本間が繋がり柳津線か統合されたが、ここで国鉄が息絶えてしまった。

さらに、盛線、宮古線、久慈線が第一次特定地方交通線に指定され、もはや三陸縦貫鉄道構想もここまでかと思われたが、岩手県と沿岸市町村が立ち上がった。国鉄分割民営化の6年前の1981年11月10日に、三陸鉄道株式会社が設立された。廃止対象となった3路線を引き継ぐばかりか、建設がかなり進んでいた二つの未成線区間も開通させ、縦貫鉄道構想を成し遂げ、南北リアス線の経営に乗り出した。

三陸鉄道は好調なスタートを切り、日本各地で第三セクターが生まれる機運を作ったが、それでも黒字経営が続いたのは10年程で、沿岸部の過疎化は深刻で、輸送人員の減少に苦しめられることになった。2003年には経営改善計画を策定するまでに追い詰められ、観光客誘致へと舵を切った。そして、2011年3月11日の大津波に見舞われるが、早くに運行を再開して被災者を勇気づけたのは三鉄だった。

東日本大震災という想像を絶する天災であったことで国家的支援体制がとられ、山田線不通区間の鉄道での再起が図れたと言えなくはない。しかし、三鉄の歩みを思い起こすにつけ、取りも直さず明治に始まった三陸縦貫鉄道構想が岩手にとっていかに悲願であったが伝わってくる。新たに三鉄に加わった宮古-釜石間は、山田線でも輸送人員の多かった区間だ。地元はやはりバスでは納得できる筈がない。

2013年放送の「あまちゃん」も三鉄の観光客誘致を後押ししたに違いない。三鉄は鉄道事業を軸に、旅行業やキャラクターグッズなどの物品販売業も行い観光業化を進めている。大企業の社会貢献としての支援機運も手伝って、多くの復興企画が持ち込まれ、話題性には事欠かない。しかし、時代の流れは直ぐに変わる。真価が問われるのはこれからだ。どこまでも泥臭く岩手県人の底力を見せて欲しい。


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  1. 2019/06/12(水) 00:00:00|
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森の細道

三陸の町々を森の細道が繋ぐ
秋色の道を36形が小さくなってゆく

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2017年10月 三陸鉄道 北リアス線 陸中宇部

三陸鉄道が走るのは多くが山の中だ。秋色の森の道を、三鉄の小さな気動車が体を揺りながら去ってゆく。

★只今、自動更新で「東北の秋 2017」をお送りしています。


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  1. 2018/10/06(土) 00:00:00|
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三陸は今

美しいリアス式海岸を襲ったあの日の大津波
そして今、コンクリートの醜い塊が沿岸を覆い隠そうとしている

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2016年6月 三陸鉄道 北リアス線 摂待

あの2011年の大津波から6年が経ち、報道映像が少なくなってきた三陸地方だが、どの町も未だに大規模な土木工事現場の様相だ。地盤のかさ上げ、大規模津波防潮堤の建設、国道の高規格化など、ダンプカーばかりが目につく。これらの工事が完成した時、美しい入江が続いていた三陸沿岸の景観はどうなっているのだろうか。人が住む気を失うような不毛の土地と化しているかもしれない。それ程、工事は大規模で、地元の方々にも先行きの想像は出来ていないだろう。

先日、復興大臣が度重なる失言で更迭されたが、攻める側も攻められる側も、被災地の将来を思いやっているとは到底思えない。復興のザル法を作った当時の政権党、それをいいことにやりたい放題の現政権、甘い汁を吸い続ける官僚社会。震災が、増税と公共事業、ばら撒きのいい口実にされている。相変わらずコンクリート政治は健在だ。震災では「絆」という文字が氾濫しているが、実は糸偏ではなく金偏だったようだ。どうでもいい大臣の失言に拘わっている場合ではない。

三陸鉄道の後方のクレーンは、国道45号線の付け替え工事を行っている。リアス式海岸をコンクリートのトンネルと橋梁で直線的に貫こうという算段だ。次回、ここを訪れた際には、背景に巨大なコンクリート橋が出現していることだろう。ニュージーランドのキウイ精神では、無理してまで近道を造る必要ないと考える。わざわざ金を掛けて景観を破壊することは、彼らには愚かなことなのだろう。そんな精神が美しい国土を維持している。さぞかし、日本は美しい国になることだろう。


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  1. 2017/05/03(水) 00:30:00|
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あまちゃんの海

震災から5年が経ち、こんな風景も見られるようになった
海辺では秋サケ用の定置網の準備が始まった

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2016年6月 三陸鉄道 北リアス線 堀内

秋のサケ漁に向けての準備なのか、漁師たちが定置網を広げて繕いをしている。集まって休憩をとっていたが、列車を時計代わりにしているらしく、この列車が通過するのを合図に、また夫々の持ち場で作業を再開した。このところ日本列島は猛暑の真っただ中だ。緑の少ない都会の中では、冷房が生命線だ。そんな暑さの中、季節を追いかける仕事では、既に秋の準備に入っている。この網が湾内の安家川の河口付近に仕掛けられる頃、秋の味覚の遡上となる。

三陸鉄道は、2014年4月6日に、北リアス線の小本-田野畑間が復旧し、全線開通となった。「あまちゃん」人気もあって観光客が大幅に増え、補助金などの関係もあるが、2014年度は久々に黒字となった。山田線の釜石-宮古間が再建の上、持参金付きで、JRから三陸鉄道に嫁入りすることになり、復旧工事が始まっているそうだ。旧国鉄の久慈線、宮古線、山田線、盛線を結ぶ沿岸が、三陸鉄道一本で結ばれることになった。観光路線化を推し進める三鉄だが、「こたつ列車」に続く名物列車の登場が待たれる。

ここ堀内駅は「あまちゃん」に登場した「袖が浜駅」のロケ地だ。駅の両側には、撮り鉄にも人気の大沢橋梁と安家川橋梁があり、列車の徐行・停車サービスが行われている。三鉄は大半が山中を往くので、意外と海を臨められるスポットは少なく、この一帯は観光資源的に貴重な場所だ。ご覧の様に、線路が高台を走っているため、津波の被害が少なくて済み、いち早く復旧して、朝ドラの撮影地となった。海辺で大漁旗を振る天野夏こと宮本信子を思い出される方も多いだろう。多分、こんなにまで三鉄を応援してくれる好材料は当分はないだろう。それでも、各地の第三セクターを牽引してきた三鉄だ。きっと、岩手県人の気質のごとく、粘り強く生き続けてくれるだろう。


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  1. 2016/08/08(月) 00:00:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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