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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

湿原の印象

ガスが流れる湿原に一筋の鉄路が伸びる
そこにはとびきり贅沢な車窓と時間がある

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2018年10月 根室本線 厚岸

別寒辺牛川の河口に広がる湿原は何処までも水平だ。その平原の彼方から、キハのヘッドライトがだんだんと近付いて来る。どうして道床が湿原に沈まないのか不思議に思えてくるような湿地の只中を列車が横切って往く。毎年の冬の凍結では、軌道は大きなダメージを受けることだろう。この湿原に鉄路を伸ばすことの困難さ、保線することの大変さは容易に想像できる。そんな贅沢至極の北海道の大自然を楽しんでもらうため、列車は徐行してゆるゆると通過して往く。

どうしてこの路線にグルメ列車が走っていないのだろうか。厚岸の牡蠣、根室の花咲蟹といえは、グルメの定番中の定番だ。「オレンジ食堂」、「TOHOKU EMOTION」等々、レストラン列車の人気は上々だ。旧江差線の道南いさりび鉄道にも、三セク化すると直ぐに「ながまれ号」が登場した。その安い改造費などから「日本一貧乏な観光列車」とも呼ばれている。別寒辺牛湿原を車窓に厚岸の牡蠣で一杯。落石の太平洋を愛でながら花咲蟹で一杯。こんな贅沢があるだろうか。


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  1. 2019/01/21(月) 00:00:00|
  2. 根室本線
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朝焼けの潟湖

朝焼けの太平洋にジョイント音が響く
人知れず繰り返される早朝の鉄道風景だ

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2018年10月 根室本線 音別

東の空が色付くころ、列車のジョイント音が海岸線に響く
大きくなったり小さくなったりしながら、近づいてくる
そして音別川の潟湖の向こうにそのヘッドライトを現す
早朝、一番に回2520Dが釧路から厚内へと送り込まれる
この沿線が目覚める前の、人知れず繰り返される儀式だ

尺別炭鉱が在ったころ、音別の人口は優に1万を超えていた
釧路市の飛び地になった2005年には、2,700人程に減った
その僅か11年後の2016年には、2,000人を切ってしまった
このペースで行けば、20年後には音別は無くなっている
かつての停車列車の「ぬさまい」も「まりも」も昔話となった

現役蒸気の頃、無煙化に追われるように道内各地を旅した
今は、路線の廃止の影に急かされるように北の大地を踏む
時代の大きな潮流の中で、地方鉄道の衰退は避けられまい
ただ、その良さを発し続ければ、何かが起こるかもしれない
今年も体力と気力が続く限り、北へ南へと旅しようと思う

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします


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  1. 2019/01/01(火) 00:00:00|
  2. 根室本線
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馬主来 黄昏時

音別を通過した「おおぞら」が再び太平洋に出る
3時を過ぎたばかりだというのに早くも黄昏だした

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2018年10月 根室本線 音別

東風が入り、どうにも天候が優れない。この界隈の海岸部は、とにかくカラッと晴れることが少ない。冷たい東風は海上でガスを生み、海岸線へと運ぶ。夏でもストーブが欠かせない。半袖を着られるのは、ひと夏に数日しかないという土地柄だ。天気が悪い分、波は少々高く、砂浜を駆け上る白い波紋が、不思議な模様を描き出す。雨もぽつりぽつりと落ち出し、思ったよりも早く太平洋に黄昏時が訪れた。

馬主来と書いてパシクル。アイヌ語でカラスのことだ。どうしてここがカラスなのかは定説がなく、各人のご想像にお任せする。昔はちょっとした地元の観光地だったようで、今よりもずっと多くの出店があったそうだ。ここ音別、尺別は上さんの故郷で、今も親戚が暮らしている。現在は釧路市に編入されているが、在るのは小さな生協とセイコーマートだけで、食料品の調達にも困るような場所になっている。


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  1. 2018/12/25(火) 00:00:00|
  2. 根室本線
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別寒辺牛湿原 雨の夜明け

鉄路以外には人工物は何もない
原始の自然の中にヘッドライトが輝く

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2018年10月 根室本線 厚岸

厚岸湾に注ぐ別寒辺牛川の河口に広がるのが別寒辺牛湿原だ。鉄道好きであれば、厚岸、糸魚沢、別寒辺牛湿原の名前を知らないことはないだろう。しかし、周辺に、釧路湿原、霧多布湿原、風連湖湿原といった名の知れた湿原が集中する場所柄のため、一般には知名度が低い湿原になっている。タンチョウの繁殖地であり、ハクチョウやカモなどの水鳥の飛来が多く、原始的な自然も手付かずで残されていることから、愛鳥家、カヌー愛好家などからの人気度が上昇中だ。

湿原故に、ここでの撮影場所は限られている。今回は最もポピュラーなお立ち台からの1枚を。露出度が高く、見飽きているだろうから、悪天候時のものを選んでみた。上りの始発列車はまだ明けやらぬ湿原を、コトコトとやって来た。よくぞこんなところに鉄路を敷いたものだ。今なら自然破壊と非難されそうだ。この場所、何てことない丘に登ることになるが、雨で斜面がつるつるで、意外と苦労することになった。さすがに、このままでは帰れず、晴天時の朝にもう一度丘に登ることになった。

根室本線の釧路-厚岸間の135.4km、花咲線と呼ばれる区間を、JR北海道は2016年に「単独では維持することの困難な線区」とした。冗談じゃないと、根室市は存続に向けた活動を展開している。ふるさと納税を活用したクラウドファンディングも行っている。目標の3千3百万円に対して、2億8千万円もの寄付が寄せられている。以前、由利高原鉄道の記事を書いた際に、ふるさと納税の活用にも触れたが、根室市は実際にふるさと納税で、「根室花咲線」の活性化事業の資金を得ている。寄付募集期間は今月末までだ。興味がおありの方は次のサイトへ。

日本最東端の鉄路「根室花咲線」を守ろう

この根室市の活性化事業には、鉄子の矢野直美さんが協力している。そのサイトはこちら。

地球探訪鉄道 花咲線


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  1. 2018/11/23(金) 00:00:00|
  2. 根室本線
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落石の落日

太平洋の夕日は敢え無く雲間に消えた
諦めかけていた一瞬の輝きに救われた

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2018年10月 根室本線 落石

午後3時半、根室行の5631Dがこの場所に現れた。ここは、てっきりキハ54の生息域かと思っていたが、やって来たのはキハ40だった。それも、緑色のラッピング車で、おまけに丸いヘッドマークまでついている。この風景には極めて不利な車体色だ。この前日にも、花咲線でキハ40を何度も見かけた。財政難から車両の更新が出来ず、ご老体のキハ40が、また勢力範囲を広げているようだ。国鉄時代の車輌は、とびきり頑丈のようで、どうやらJRへの置き土産のキハ54よりも長持ちのようだ。

ここでの狙い目は、この根室行が折り返してくる5632D釧路行で、午後4時半過ぎに再びここを通過する。事前の調べでは、日没のおよそ10分前に通過することになっていた。太平洋の夕日と輝く列車が、思い描いた写真だ。どうせピッカピカが狙いだから、ラッピングも何のそのだと自分に言い聞かせる。ステンレス車の方が光るだろうなということは考えないようにして、海風の中を空模様を気にしながらひたすら待つ。暮れ往く太平洋の大海原はなかなか壮観で、贅沢な時間と思えば苦にならない。

30分前、上空は青空で、西の水平線には大した雲もない。例によって、ハラハラ時計の待ち時間が始まる。空の様子は、5分もあれば一変することは、小海線の天空時間で痛いほど思い知らされている。通過15分前、不吉な雲が流れ始めるが、太陽は水平線上にまだ見えている。5分前、上空には厚い雲が広がり、太陽も雲間に消えた。運も尽きたかと消沈した中を、定刻に5632Dが姿を現したが、ラッピング車は大地に沈んで冴えなく過ぎて往く。諦めかけたその一瞬、夕日が零れ、列車が輝いた。

先日、中井精也さんの鉄道写真のテレビ番組を見ていると、この場所で全く同じようなことになっていた。こあらまと同じように、諦めの中での列車の一瞬の輝きに、精也さんも大喜びしていた。その様子を見て、苦笑するしかなかった。


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  1. 2018/11/17(土) 00:00:00|
  2. 根室本線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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