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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

中央西線 只今電化工事中

木曾路は全て山の中、とは藤村のことば
その谷を往く鉄路にも、文明の電化が迫る

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1971年10月 中央西線 木曽福島

ちょうどこの頃、中央西線では電化工事が盛んに進められていた。あちこちで、線路際にコンクリート架線柱が立ち始め、非電化路線の趣が日に日に失われていった。その中を、電化の日までD51やキハ181系「しなの」が走り続けた。木曽のデゴイチは、中京圏からは日帰り、東京からは夜行日帰りが出来、多くのファンに親しまれた。客貨ともに蒸気のD51天国だった。

木曽福島機関区の扇形機関庫傍の保線詰所前に、大勢のヘルメット姿の男たちが屯している。深夜に行われる、架線柱の設置現場での荷下ろし作業の打ち合わせをしているようだ。保線区の職員が、嬉しそうに、D51の誘導の仕方を、民間業者の作業員に披露している。既に、この木曽福島駅構内にも架線柱が横たわり始め、谷に汽笛が鳴り響くのも残り僅かになっていた。

深夜のチキ工臨といえば、大概は交換レールの搬入と相場が決まっている。現在の中央線では、ロクヨン牽引のロングレールのチキ工臨が活躍している。しかし、電化工事の際には積み荷は架線柱になる。撮影地に向かう列車の車窓から見た、擦れ違いの貨物列車には、架線柱を満載したチキが混じっていた。皮肉にも、淘汰される運命のD51がその荷を懸命に牽いていた。


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  1. 2018/07/04(水) 00:00:00|
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木曾のデゴイチ

中山道の古い宿場町を巡る中央西線はノスタルジックな路線だった
電化が目前となり、木曽谷に響き渡るデゴイチの汽笛を聞けるのも残り僅かだ

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1971年10月 中央西線 上松

中央本線とは東京-名古屋間396.9kmの山岳路線だが、その道の人の間では、塩尻を境に中央東線と中央西線と呼び習わされてきた。今も昔も、東線は関東、西線は関西・中京の人が利用するというのがイメージだが、東側の小生にとって、西線は島崎藤村の「木曽路はすべて山の中である」で始まる「夜明け前」の舞台となった木曽谷を巡るノスタルジックな路線だった。

中央西線は、1973年に全線電化されるまで、非電化の中津川-塩尻間はD51の天下だった。貨物と普通旅客列車の殆どをD51が引いていたが、この頃、電化工事が佳境を迎えていた。あちこちにコンクリートの架線柱が転がっていた。電化工事というのは、さぞかし手間と時間が掛かる大変な工事と思い込んでいたが、あっという間に架線柱が林立し、D51とキハ181は木曽路から去って行った。

交換の重連回送が到着し、出発に備えて投炭が始まったのか、盛大な黒煙となった。本線貨物は引き出しが正念場だ。ちょっと気になるのが、その傍らでホームに屯する若者たちだ。70年代の出で立ちは、豊かな時代の始まりを予感させる。何気なくとったポーズにも、その時代を思わせるものがあるから面白い。


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  1. 2016/02/10(水) 00:51:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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