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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

雪への備え

集落の道は川の流れになっている
雪国が編み出した白い冬への備えだ

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2017年2月 飯山線

雪国の雪かき、雪下ろしの労力は結構なものだ。屋根からの転落事故が繰り返され、お年寄りや幼児の水路への転落は命取りになる。そこで、色々な融雪・消雪のテクニックが生まれてくる。飯山線沿いの集落は、水稲栽培のために水筋に開けているため、その水を利用しているのをよく目にする。では、ある集落の例を見てみよう。


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融雪にはこの沢水が使われる。春には田圃に水を張るための重要な資源だが、冬は冬で大切な役割がある。この集落は、沢筋に沿って、国道から信濃川に向かって伸びている。


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まず、国道際の最上部から沢水が流される。水が道路上を流れて行くように、道の両端が高くなっている。うまい具合に、傾斜を利用して、集落内の多くの道路に分流していく。


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道沿いには小さな水路があり、要所要所に簡単な可動堰が設けられている。この堰を絞れば水が道路上に溢れ出す仕組みだ。雪の降り方に合わせて流す水量を調節している。


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各戸の玄関前や駐車場などの家周りは、水路から引かれた散水管が使われる。ただ流せばよいというものではなく、噴水のように弧を描いて放水することが肝要らしい。


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こちらは家周り。流水の湿気で苔むしている。家が湿気ないか気になるところだが、雪が積もっていれば同じことか。集落の何処もこんな状態なので、長靴は欠かせない。


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こちらは横方向に伸びた脇道のお宅で、傾斜がなく上部からの水が流れてこないので、専用の導水管で豪快に放水している。道に浅く水が張るようになっている。

集落の方にお伺いしたが、道路や駐車場の除雪は不要で、思い立った時に、直ぐに集落を出られるそうだ。家の周りにも積もらないので、極端な高床にする必要もないとのこと。山村らしい自然を上手く利用した融雪・消雪手段だ。


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  1. 2019/02/12(火) 00:00:00|
  2. 飯山線
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大河の流れ

大河に沿って故郷の風景が続く
その流れは首都圏のJR電源だ

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2017年2月 飯山線

日本一の大河の千曲川・信濃川だが、飯山線を旅すると、川の流れが一定しないことに気付く。特に水量が急に落ちるのが2枚目の写真の津南辺りだが、1枚目の上流の上境よりもかなり少なく、大河とは思えない水量だ。西大滝の西大滝ダムで取水されているためだ。その水は、年間発電量が電源開発佐久間発電所に次ぐ東京電力信濃川発電所に送られている。累計発電量では日本一の大河にある日本一の水力発電所だ。

JR東日本の年間総消費電力は、およそ60億kWhに上る。その4分の1の14億kWhを越える電力を、信濃川の国鉄譲りの自前の水力発電によって得ている。首都圏に限れば、約4割の電力を賄っていることになる。飯山線は越後鹿渡-越後田中間で信濃川を渡るが、その橋梁の袂にあるのが、津南町にある先の東京電力信濃川発電所になる。その放流口の直ぐ下流の十日町市に、今度はJR東日本の宮内取水ダムがある。

まず、1939年に十日町市の浅河原調整池を経由する千手発電所が開設され、戦後復興が進む1951年には、千手発電所の水を、小千谷市の山本山山麓にある山本調整池に引き入れた、小千谷発電所が始動した。さらに、1990年には宮内取水ダムに新たな取水口を設け、浅河原調整池の余剰水を合わせて、山本調整池に隣接した第二山本調整池に導いた、新小千谷発電所を落成させ、現在の3発電所の態勢が形作られた。

何れも、自然流を利用した調整池式自流の水力発電になっている。十日町の取水ダムから小千谷の二つの発電所まではおよそ30kmあるが、延々と導水管で繋がれている。この区間の信濃川も、津南と同様に流れは細くなっている。広大な山本調整池には、JR東日本と小千谷市が整備した学習・レジャー施設の「市民の家・小千谷信濃川水力発電館おぢゃ~る」があり、JR東日本の水利に対する地元振興が図られている。

当たり前の話だが、川の水には水利権が設定されている。農業や内水面漁業には川の流れは欠かせず、何人たりとも川を干上がらせることは許されない。そのため、JR東日本の発電所にも、厳格な取水量の上限と放水量の下限が設定された上で、水利が許可されている。ところが、取水・放流データの改ざんが行われ、過剰な発電がなされていた。監督官庁の国土交通省は、水利使用権を取り消す行政処分を下している。

その後、JR東日本は、サケの稚魚放流などの地域貢献の懺悔を続けることになった。小千谷市の「おぢゃ~る」もその一環で、飯山線に蒸気が復活したのもそのためだ。2010年には暫定的に水利権は復活したが、今も国交省と十日町市の厳しい監視下に置かれている。蒸気ファンとしては飯山線のC11は嬉しかったが、純粋な意味での町おこし、路線活性化であればよいが、少々後味の悪いものになったことは否めない。

国有企業が前身の公共交通を担う大企業であっても、このような悪質極まりない姑息な不正が起き、JR東日本のコンプライアンスとガバナンスの問題が露呈した。JRの傲りなのだろうか。発電が停まった2009年2月13日から2010年6月9日までの間、首都圏では夏の通勤時間帯の間引き運転も噂された。その昔、「順法闘争」が通勤通学の足を混乱させた。ただし、良き企業としての順法精神は決して失ってはいけない。


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  1. 2019/01/31(木) 00:00:00|
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雪国の小さな駅

白い季節を乗り切り、春の気配がしてきた
行き来する雪国街道のキハも安堵の表情だ

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2017年2月 飯山線

雪国や北国で生きる人々は、春の気配にはとても敏感だ。まだまだ積雪は2m近くあるが、2月も終わりに近づいて、日差しが柔らかくなり、集落の雰囲気も明るさを増してきた。線路を覆っていた氷雪も大分解けて、道床が現れだした。行き来するキハも、春めいた日差しを浴びて心持暖かそうだ。厳しい冬を、肩寄せ合って乗り切った雪国の小さな集落に、待ちわびた春の気配が漂う。

この冬は暖冬傾向で始まったが、その後の寒波で冬らしい冬になった。新潟県津南のアメダスでは、今夜は雪で、積雪深は180cm近くになったようだ。この地域では、これから一月ほどが降雪のピークとなる。今頃は、飯山線のキハが雪ダルマになって、人々の生活を支えていることだろう。そろそろ、安穏と炬燵に何ぞ当たっていないで、雪深いのローカル線の活躍を応援しに行こう。


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  1. 2019/01/19(土) 00:00:00|
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雪国の集落を繋ぐ

積雪深が2mを超え、最も雪深い季節となった
一面の銀世界となった田圃が、静かに春を待つ

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2017年2月 飯山線

雪景色を撮る際には、画角内に足跡を残さないように立ち位置に向かうことが鉄則となる。初めての場所ならいざ知らず、何度も通っている場所で、単純ミスを犯すわけには行かない。目標地点の背後からの接近となった。ところが、この時は雪の締まりが非常に悪く、たった数百メートルのアプローチと立ち位置での足場の確保に、大いに手こずらされた。機材を乗せた雪遊び用のプラ橇を引いて、スノーシューでの行軍だが、一旦潜ると腰まで埋まってしまう。潜ってしまうと、スノーシューは邪魔者でしかない。結局、スノーシューを脱いで、雪の中を泳いで現場へと向かった。予想外の悪戦苦闘に、時間が迫って来る。2月だというのに大汗をかくことになってしまった。今年も冬本番になり、新潟の積雪深と気圧配置が気になる季節になった。


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  1. 2019/01/09(水) 00:00:00|
  2. 飯山線
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上境 青田のころ

暑い日差しを受けてコトコトと列車がやって来た
青田を遮る木々の緑が瑞穂の国に迫りくる

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2018年7月 飯山線

この場所も気が付いてみれば、随分と木々が成長したものだ。元は一面の田圃だったようだが、耕作されなくなった田に木が生えて、こんな立派な林に成長してしまった。田圃と云うのは、一旦草を生やしてしまうと簡単には田には戻らない。ましてや、林になってしまえば畑にすることもままならない。つまり、多くは耕作されずに野に帰って行く。今の日本で、農業で生計を立てていくことは難しい。特に穀物は一部の大規模農家を除けば殆どが兼業だ。多くは、先祖伝来の田圃を守るために、家族と親戚の米を細々と作っているのが現状で、兼業とも言えない有り様だ。

瑞穂の国の象徴である青田の風景も、絶滅危惧種入りする日も近いかもしれない。中山間地では、既に後継者が殆どいない状況を考えると、今の世代で最後になってしまうかもしれない。この抜けにしても、5年先、10年先にどうなっているかは楽観できない。田圃の緑に負けじと成長する木々の緑が、視界の半分位にはなってしまった。新たに草の生えだした田もあるような。田圃が無くなるのが先か。木々に覆われてしまうのが先か。それとも、このか細い鉄路が消えてしまうのが先か。年々抜けが小さくなっていくこの風景を眺めていて、ふとそんなことが頭を過った。


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  1. 2018/08/13(月) 00:00:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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