駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

江差線の春 その4 水辺の風景 

この海は函館名物のイカの漁場だけに、夜ともなれば集魚灯が煌めく
道南いさりび鉄道とは如何にも函館らしいいい命名だ

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2015年5月 江差線

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江差線は、こうやって津軽海峡と函館山を眺めながら函館の街に続くが、新幹線は青函トンネルを抜けてもトンネルばかりが続き、殆ど海を見ることなく、仁山に近い北斗市の「新函館北斗」に向かう。鉄道旅に景色は要らないというのであればそれでもいいが、時間でも、運賃でも航空便に勝ち目のない、暗黒のトンネルに明日があるのだろうか。そんな将来を見越してか、JR東はカシオペアを復活させるという。

さて、この「新函館北斗」という駅名だが、函館市と北斗市との不毛のバトルの末に決まった駅名だ。滑稽とも思える論争は、「新函館」に「北斗」をくっ付けた、何の面白味もない市名折衷の痛み分けで落ち着いた。浅ましいばかりの争いを、する方もする方だが、JRの不誠実さも罪深い。両市は仲違いをしていられるような状況とは到底思えないのだが、行政も悠長なものだ。

観光開発を目論む北斗市によって区画整理された駅前の13.5haの土地が、今後どうなっていくかは、大方の国民予想と違わないだろう。一足先に開業した北陸新幹線の「妙高高原」の駅前は、未だに殆どが更地の状態が続く。風光明媚な日本の穏やかな風景を台無しにする、土建屋国家を象徴する巨大コンクリートの障害物を見ていると、怒りを通り越して悲しい気持ちになる。国鉄の分割民営化はいったい何だったのだろうか。おいそれと廃線にできない大赤字路線を抱え込み、そのつけは確実に在来線にのしかかって来るだろう。


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開業10か月前の新函館北斗駅

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駅に隣接する3階建ての巨大な市営駐車場

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区画整理された駅前は、果たしてどうなる  遥か彼方に函館山が


これで、「江差線の春」を終わります。


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  1. 2016/04/02(土) 00:51:54|
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江差線の春 その3 記念写真

津軽海峡を越えて、北海道にもやっと遅い春がやって来た
この年も芝桜が咲き揃ったが、江差線としての最後の花の春になってしまった

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2015年5月 江差線 札苅-木古内

木古内には薬師山という芝桜の名所があるが、この画の芝桜は個人の庭に咲いたものだ。退職されたご主人が道楽で芝桜やチューリップを植えている。国道と江差線に挟まれた狭い場所だが、国道を通りかかった人が、花を見つけて次々と見物に車を停める。名所とされる薬師山よりずっと盛況だ。庭の主のおやじさんは、年金を全部つぎ込んでいるから大変だとぼやいてみせるが、何処かご満悦なご様子だ。

我が家も山梨でのオープンガーデンを目指しているが、なかなかその日がやってこない。芝桜は好みではないが、こうして多くのお客さんを迎えられるだけでも尊敬に値する。そういえば、廣田尚敬さんと言えば、我らの不動の大先輩であるが、園芸家・エッセイストの奥さまの靚子さんは、世界的に知られたハーブ研究家だ。かの英国王立園芸協会の日本支部の理事も務められている。家の書架には「イギリス 花の庭」という奥さまの著作本があるが、写真を撮られたのは勿論夫の尚敬氏だ。

列車通過の時刻が近づきカメラを構えていると、ファインダーの中で若夫婦が子供と記念写真を撮りだした。同業者であればご遠慮いただくところだが、それ以外は有り難く頂戴することにしている。おとうさんに抱っこされた男の子は、おかあさんが頻りに気を引こうとしているが、小さなカメラより大きいカメラの方に興味があるようで、じっとこちらを見ている。そうこうしているうちに、芝桜を横目に、見納めになるやもしれない、この地のJR北海道色のキハがゆっくりと通り過ぎて行った。


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トラピスト修道院内にあるカトリック当別教会(聖リタ教会)の聖母子像

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聖リタ教会のステンドグラス


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  1. 2016/03/31(木) 01:20:53|
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江差線の春 その2 トラピストの丘

岬と入り江を繰り返し、キハ40が小さな漁村を巡って往く
静かな入り江が見える丘の上に、その修道院はひっそりと佇んでいた

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2015年5月 江差線 渡島当別

厳律シトー修道会の当別トラピスト修道院が創立されたのは1891年のことで、最寄り駅となる江差線の前身である上磯線渡島当別駅の1930年の開業よりも40年も前だ。近くの久葛登志灯台に因み「灯台の聖母修道院」と命名されている。日本には、トラピストに属する男子修道院が二つ、女子修道院は五つある。当別は男子で、函館市内の空港近くには、女子の「天使の聖母トラピスチヌ修道院」が置かれている。どちらも観光名所になっており、修道士・修道女により製造されるクッキーやバターは北海道土産としてよく知られている。とは言え、厳格な修道院であることには変わりはなく、内部は観光で入れるようなところではない。

ここ江差線は電化路線だが、JR北海道が両運転台の単行運転が可能な電車を持たないため、普通列車は函館運輸所のキハ40で運行されてきた。入り江と岬を繰り返しながら、小さな漁村を繋いでいく。渡島当別駅はトラピスト修道院の下車駅だけあって、駅舎は郵便局との合築で、修道院を模った大きなものだ。駅舎内には陶器製の聖像も安置されている。海峡線の開業に際して、待避線を長大貨物に対応させるなど、駅設備は増強され、駅舎も現在の姿に改装されたが、逆に駅員は去り、無人化された。

さてさて、江差線が「道南いさりび鉄道」に生まれ変わって、この駅はどうなっただろうか。観光地らしく、少しは賑わいを取り戻せただろうか。キハ40は国鉄からJRへ、そしていさりび鉄道へと二度目の継承となった。写す側としては、古い車両が使われ続けるのは有難いが、何時までも退役できないのも困りものだ。当別の浜には、小さな漁師小屋が並び、磯船が陸揚げされていた。どうやらこの小舟の家族には機関車好きの子供がいるらしい。船頭はトーマスのようだ。


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桜と新緑のトラピスト修道院

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トラピスト修道院の農場 土色のグラデーションが面白い


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  1. 2016/03/29(火) 01:44:31|
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江差線の春 その1 白鳥の二度目の消滅

トンネルばかりの新幹線では、函館湾に浮かぶ函館山を堪能する余裕はない
陽光が眩しい波静かな函館湾に沿って、特急「スパー白鳥」が内地へと向かう

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2015年5月 江差線 茂辺地-渡島当別 「スーパー白鳥」8連

昨日2016年3月26日、北海道新幹線が開業した。思えば52年前の1964年10月1日、初めての新幹線である東海道新幹線が開業した。「夢の超特急」と称され、大々的に報道された。その年の10月10日に開幕した東京オリンピックに間に合わせた営業開始だった。やっと我が家にやって来た白黒テレビは、団子鼻の0系新幹線を繰り返し映し出していた。昭和39年、小生が小学生の時だった。

1954年の洞爺丸事故から、本州と北海道を鉄路で結ぶことが国鉄の悲願となった。整備新幹線の策定から43年、1988年の青函トンネルの開通からも28年の時を経て、やっと開業に辿り着いた。昨日の開業の報道は、北陸新幹線の金沢開業に比べて、かなり控え目なものだった。辛口の論客もちらほら耳にする。航空各社は、函館便に値下げも減便も行わないという。特定地方交通線並になってしまった海峡線が新幹線になっても敵ではないとの認識だ。JR北海道で輸送密度を上げているのは千歳空港からの千歳線しかない。今や海峡線の主たる役割は貨物輸送だった。半世紀の時の流れは、世の中を大きく変えてしまった。新幹線で大騒ぎする時代はとうに昔話になってしまった。

北海道新幹線の開業で、海峡線の一部を成していた江差線は、函館市に本社を置く第三セクターの「道南いさりび鉄道」に衣替えした。また一つ旧国鉄の路線名が消えてしまった。電化路線の撮影は気が進まないが、昨年、春たけなわのJR江差線を少々撮影していたので、この機会にその模様をお伝えしたい。海峡線の特急は「白鳥」だったが、そもそも「白鳥」は、大阪-青森間のキハ82が元祖だ。青函連絡船を挟んで、これまたキハ82の「おおぞら」に接続する、所謂「1便接続」の看板列車だった。今回は特急「白鳥」の二度目の消滅となる。


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「スーパー白鳥」 JR北海道 789系

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「白鳥」 JR東日本 485系


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  1. 2016/03/27(日) 02:22:12|
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七重浜の傷痕

青函トンネルが開通するまで、この線はどこにでもあるローカル線の風情だった
今は内地とを結ぶ特急が行き交うこの線も、新幹線開業とともにお役御免だ

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1973年4月 江差線 七重浜

さて、ここらで煙分補給をと、江差線つながりで現役蒸気を探していると、廃線区間ではないが、この七重浜の出発シーンが見つかった。当時は、木古内から松前への路線もあり、江差・松前線と呼ばれ、普通車使用の急行「えさし」「松前」が2往復運転されていた。ただ、蒸気の列車は少なく、撮影効率も悪く、罐も月並みなC58であったため、あまり注目される路線ではなかった。稲穂峠の情報なども乏しく、今考えると惜しいことをしたものだ。ちなみに、松前は和人の北海道への足掛かりの地で、鉄道利用者も江差より多かったが、統計上のからくりで先に廃線になっている。

この七重浜という地名を聞くと、あの青函連絡船の事故を連想される方も多いはずだ。1954年9月26日の函館で、台風により一度に連絡船ばかりが5隻も沈没している。いずれもが、避難の航送中の船で、浸水によって沈没している。乗客を乗せていたのは洞爺丸だけだったが、遠浅の七重浜への座礁を試みたが、敢え無く沈没し、1100人を超える死者・行方不明者をだした。七重浜は溺死体で埋め尽くされたという。5隻あわせると犠牲者は1400人以上にのぼった。(犠牲者数は発表元で幾通りもあり、定かでない。)
この遠浅の海には、現在は上磯にある太平洋セメントの2kmの海上桟橋が、忽然と沈没現場に向かって伸びている。

この事故をきっかけに、青函連絡船は船体が強化され、その後終焉まで大きな事故は起きていない。同時に、青函トンネルを掘削して、新幹線で内地と北海道とを結ぶことが国鉄の悲願となった。それから、60年余年の時を経て、来年北海道新幹線が開業することになったが、時代は巡り、鉄道を取り巻く社会環境は大きく変わってしまった。お荷物の歴史的巨大建造物になるやも知れない。


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  1. 2015/10/02(金) 02:32:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

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