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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

黄金色の時間

知床斜里が黄金色に染まった
一日を締めくくる神々しい眺めだ

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2018年10月 釧網本線 南斜里

黄金色は色空間では完全に現すことのできない光学的状態とされている。詳しい物理的説明はやめにして、この夕日に黄金色に輝くキハ54を撮った時の話をしよう。夕日狙いは晴れた日の一大イベントだが、通過時刻と日没時刻を睨んで、色々と思案することになる。この時は、この列車と行き違いになる網走行きを、止別で撮るか、南斜里で撮るかで大いに悩んだ。止別ストレートの夕日は上手く時刻が合えば至福のひと時となる。しかし、この時は僅かに日没の方が早いことが予想された、知床連山に日が残っていても、キハが暗がりになってしまうことが危惧された。両方の現場を下見して移動時間なども計ったが、安全速度で追っ駆けるには僅かに時間が足りなかった。

そこで、南斜里で2本の列車のそれぞれの順光と逆光を、例によって手持ち2台で試みた。今回の写真は逆光の方になるが、見事に車体や電線、柵などが黄金色に輝いたところまでは目論見通りだったが、どうにも調度いい抜けがない。乗客が一人下車したが、車両と人と抜けが上手く噛み合わない。かくして、逆光編は中途半端に終わってしまった。ただ、美しい黄金色だったことは確かで、冬の寒色の写真が続いていたので気分転換にアップしてみた。もし、止別で狙っていたら。夕日に燃える知床連山をバックに、暗がりに近付くヘッドライト一つ。考えれば考えるほど止別の方が美味しかったか。何時だって逃した魚は大きい。こうやって、リベンジを果たす旅が続くことになる。


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  1. 2020/01/25(土) 00:00:00|
  2. 釧網本線
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標茶機関区斜里支区

煤けたクラに罐の息遣いがある
次の仕業までじっと体温を温存する

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1973年3月 釧網本線 斜里 (現知床斜里)

蒸気機関車を運行するためには、色々な専用の地上設備が必要になる。ディーゼル機関車であれば、燃料さえ給油すれば通常の運行は続けられる。電気機関車は、バックに巨大な発電所が控えているが、通電された架線さえあれば走り続けられる。ところが、蒸気機関車となると、しょっちゅう水と石炭をくれてやらなければならない。おまけに、水は勝手に自然に戻るが、石炭からは燃えカスの炭殻がでるため、こいつも頻繁に処理してやる必要がある。おまけに寒がりで、体が冷えると動けなくなってしまう。火を落とそうものなら再出発には数時間を要する。

釧網本線は斜里のクラにC58331が佇んでいる。休む時には、こうしてクラと呼ばれる機関庫の中で、ひっそりと体温を温存している。時折、不寝番が石炭をくべて、最低限の体温は維持されている。クラの中は罐が持ち込んだ雪が解けてびしょびしょだ。外には罐の血液ともいえる水を補給するための給水塔が見える。その向こうに、今も在る構内を跨ぐ歩道橋が見える。斜里を知る方なら、このクラが何処にあったか大方の目星は付くはずだ。今この場所は更地になっている。釧網本線の運行を支える機関支区があったことなど当の本人も忘れかけていた。


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  1. 2019/11/27(水) 00:00:00|
  2. 釧網本線
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野上峠への道

かつてこの峠道には補機が付いた
緑はその運用を支える要衝でもあった

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2018年10月 釧網本線 緑

この駅をロケしていると、赤だったはずの川湯温泉方面の出発信号が何故か青に変わった。営業列車は数時間は来ないはずだが、何者かが札弦側から緑駅に接近している。何が来るのか楽しみにカメラを構えていると、現れたのはこいつだった。川湯温泉方面側のこの眺めが気に入って色々と撮っていたが、列車を入れ込むのは無理だと諦めていた時に、運よくこの釧路のノロッコ色のDE101661が現れてくれた。

現在の釧網線は、網走からここ緑までがオホーツク局の管内で、川湯温泉から釧路までが釧路局となる。緑-川湯温泉間にある野上峠が境界になっている。この峠越えのため、現役蒸気時代には補機運用があった。そのため緑には転車台が存在していた。その昔、線路伝いに野上峠を目指したことがあったが、天候悪化で泣く泣くの敗退となった。峠にはトンネルがあり、その通過に備えて懐中電灯も用意していた。

リベンジを果たしたいところだが、どこの地図を見てもこの峠道には車道がない。釧網線と並行する国道391号線の野上峠は、鉄道から遠く6km程離れたところにある。昔のように線路を辿るのは今はご法度だ。ましてや保線の方々に同行させてもらうことなど在り得ない。杣道のような細道があるかもしれないが、ヒグマの餌食にはなりたくない。どうみてもかつての釧網線の難所は車窓で眺めるほかなさそうだ。


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  1. 2019/11/23(土) 00:00:00|
  2. 釧網本線
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湿原の印象

湿原の秋空を雲が流れていく
短い秋の日が足早に過ぎてゆく

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2018年10月 釧網本線 塘路

北海道は今頃は白い大地に衣替えしたはずだ。真冬の寒気にすっぽりと覆われ、湿原も冬の眠りについたことだろう。毎年繰り返される厳しくも生命観溢れる四季の移ろいが、この湿原の美しい景観を形作ってきた。そんな悠久の時間を感じつつ、穢れのない風景の中でひたすら列車を待つのが、何時しか極上の時間となった。それが風雪の季節であっても何も変わらない。列車の多い少ないなど問題ではない。少ないほど、その土地との対話は豊かになる。今また純白の湿原が脳裏をよぎる。キハの排気が白くなる極寒の風景もまたこの湿原からの掛け替えのない贈り物だ。


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  1. 2019/11/15(金) 00:00:00|
  2. 釧網本線
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硫黄山を背に

45年前のリベンジにここに立った
硫黄山を背に前照灯が大きくなる

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2018年10月 釧網本線 摩周

どうも「摩周駅」はピンとこない。やはりここは、こあらま的には弟子屈町の「弟子屈駅」だ。摩周もいいが屈斜路湖はどうでもいいのか。JRになって駅名もかなり融通が利くようになったようだ。以前、「ニセコ駅」のことを書いたことがあるが、国鉄の原理原則の盾を前に、町はどうしてもこの駅名にしたくて町名を変えてしまったほどだ。その捨て身の作戦が、現在の「ニセコ」ブランドを築き上げる原動力となっている。駅名だけを観光振興のため「摩周」にするのでは、何か伝わるものが弱いような気もする。ブームにあやかって「温泉」を付け足すところもあるが、これはもうちゃっかり組と言えそうだ。

この硫黄山バックのストレートは現役蒸気の時代から有名スポットだった。その昔、この場所でC58の混合列車を待ったことがある。弟子屈からとぼとぼと線路伝いに歩いてやって来た。列車通過の10分程前までは硫黄山がスッキリ眺められていたが、その後まさかの吹雪に見舞われ目的が達せられなかったばかりか、駅に必死に逃げ帰るという羽目になった。それから45年、リベンジのために早朝のこの場所に戻ってきた。天気は上々だが朝の冷え込みで朝靄が引っ切り無しに流れていた。じきに晴れるだろうと高をくくって待っていたが、結果は45年前と同じに。山はガスに包まれてしまった。

再度の敗退はどうしても受け入れられなかった。釧網線も何時まで走っているのか分からないような時代になってしまった。仕方なく気持ちをリセットして次の列車を待つことにしたが、何せ閑散路線のため数時間の間がある。そこで、久しぶりに摩周湖に行ってみた。どういう訳か、ここに来ると何時もピッカピカだ。霧の摩周湖を見てみたいものだ。一通り摩周湖を愛でて、現場に戻ると朝靄は綺麗に晴れ渡り、今度は風情に乏しい硫黄山の山容が眺められた。おまけに、木々の成長で昔のようなスッキリしたアングルが得られない。昔と違って、昼夜前照灯が点灯しているのがせめてもの救いだった。


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朝靄の硫黄山

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煌めく摩周湖

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定番アングルの摩周湖と摩周岳


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  1. 2019/09/22(日) 00:00:00|
  2. 釧網本線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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