駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

オホーツク早春賦

オホーツクの流氷もそろそろ海明けの時期を迎えた
早春の陽光を浴びて、混合列車が海辺を駅を往く

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1973年3月 釧網本線 北浜

釧網本線の流氷とくれば、かつてはこの北浜の海岸段丘が最もポピュラーな撮影場所だった。数多くの映画のロケ地にもなり、「オホーツクに一番近い駅」として、今は中国や韓国からの観光客に人気を博しているようだ。流氷というのは、常に風任せで移動しているもので、東風が吹けは接岸し、西風が吹けば沖に遠ざかるということを繰り返す。当時は、道内を巡業する同業者同士で、接岸状況を情報交換しながら撮影のタイミングを図っていた。例年、網走の流氷は1月下旬から2月上旬に掛けて流氷初日を迎えるが、3月も下旬になると何時終日となってもおかしくない時期となる。まもなく春一番の強い西風が吹き、一気に海明けとなる。

この写真も、悪い眺めではないと思うが、月並みであるということは免れない。定番スポットでのピカピカ状態では大した感動も湧かない。今なら、もう少しマシな時間帯やアングルを考えただろうが、当時は残念ながら定番止まりだった。以前「釧網本線の二つの太陽」という記事で、大木茂さんのとびっきりの名作である朝日の浜小清水をご紹介したことがある。当時も浜小清水の原生花園側の段丘は気になっていたが、さすがに朝日を絡めようなどとは、全く考えが及ばなかった。今でも、未練がましく始発列車の時刻なんぞを調べてみたりもしているが、もう棚引く煙が蘇るわけでもなく、街の様子も変わってしまったので、別のアングルを探せという声も聞こえてくる。

独自色に欠けるお立ち台写真とは言え、当時蒸気を追いかけた方々には、やはり懐かしさが込み上げてくるシーンだろう。この時は「団結号」に散々泣かされたが、テンダーのスローガンは、うまい具合にドレインで隠されている。盛大な黒煙はファンに対する、その埋め合わせのつもりだったのだろうか。オホーツクの早春賦の流氷と、知床連山海別岳と、在りし日のC58の混合列車を、それなりにお楽しみいただければ幸いだ。


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  1. 2017/03/18(土) 00:30:00|
  2. 釧網本線
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流氷の季節

流氷が接岸してから随分と経ち、浜の氷の汚れも目立ってきた
流氷原を照らす太陽も眩しくなり、海明けはもうすぐだ

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1973年3月 釧網本線 北浜

今年も流氷が南下し、1月27日に紋別、29日には網走で「流氷初日」を観測した。昨年は流氷面積が過去最少だったが、今年も平年の約7割に留まっているそうだ。やはり、温暖化の影響は計り知れない。オホーツク沿岸の冬の観光資源だけあって関係者は気をもんでいるようだ。2月11日には網走港で恒例の「あばしりオホーツク流氷まつり」が開かれるが、接岸の見通しは立っていない。3日にウトロで2週間遅れの接岸が記録されたが、果たして網走は何時になることやら。

一方、ここ釧網本線の「流氷ノロッコ号」は、専用機のDE10の老朽化を理由に、JR北は昨年11月に廃止の方針を提示したが、一昨日の道新ウェブ版によれば、一転して別の観光列車を創設する意向が示されたそうだ。ただ、これも、今春の新幹線開業後の様子によっては、ご破算になるやもしれない。今のJR北は全てが新幹線次第だ。

変わってこの画の頃は、流氷はきちんと接岸していたし、釧網線の混合列車も元気だった。蒸気ファンは、道内を流浪しながら、流氷情報を交わし、三々五々流氷のメッカの北浜を訪れていた。当時の北浜には展望台などあるわけもなく、国道を挟んだ海岸段丘の上が流氷撮影の場所だった。知床連山をバックに流氷の白い海が広がっていた。蒸気は消える運命にあったが、流氷までが消えてしまう時代がやって来るとは思わなかった。


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  1. 2016/02/06(土) 00:39:31|
  2. 釧網本線
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釧網本線の二つの太陽

慌しかった一日の終りに、静かな時間が流れている
無風の空に一条の煙が上がり、オホーツクの街並が輝いた

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1973年3月 釧網本線 斜里

もし、この画をご覧になって、大木茂さんの名作、朝日の浜小清水を連想された方がおられたら、望外の喜びだ。小生の作業小部屋には、この二つの釧網線の画が並べて掛けてある。前回は、鉄道ファンの田沢義郎氏の写真に魅せられて、その現場を訪れたが、結局かなり違った画になってしまったという話だったが、今回は期せずして撮った画が、大木さんの写真とかなり相性がいいのでは、という勝手な思い込みの話だ。

朝日の浜小清水は、今まさに夜が明け、躍動の一日が始まろうとする「動」の作品だ。それに対して、小生の夕日の斜里は、一日が静かに終わろうとしている「静」の画だ。仁王の「阿形」と「吽形」といったところだ。こういう対照的なものは相性がいい。見る人間だって、「躁」が優勢の時もあるし、「鬱」が蔓延っている時だってある。2枚並べると、あの頃のオホーツクの町の一日が蘇るような気がする。そこには、それぞれの作を越えた味わいを感じる。一日の始まりに朝日の浜小清水を見て気合いを入れ、一日の終わりに夕日の斜里を眺めて静かにその日を振り返る。それが、小生の毎日の儀式だ。

ただ、大木さんもご自身の写真展で、一番のお気に入りだとおっしゃっていた名作の、向こうを張ろうなんて気は毛頭ない。写真の質や撮影の難易度は比べ物にならない。大胆不敵にも、不見識極まる記事を書いてしまったが、何とかお許しが頂けるのではないかという、淡い期待もある。この夕日の斜里は、小生にとっても一番のお気に入りの中の一枚だ。メイン料理を引き立てるための、前菜か付け合せくらいにはなって欲しいものだ。


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写真集「汽罐車」に収載されている朝日の浜小清水です。以前、サイトの表紙を飾っていましたが、今は寫眞帳の釧網本線の中で見ることができます。配本の際の特典や今年のカレンダーとして写真データをお持ちの方も多いと思います。ここに並べて張り付けたい気もしますが、そこはぐっと我慢しましょう。ご本人のサイトで、じっくりご覧になってください。大木さんのサイトはこちらから。


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  1. 2015/09/04(金) 00:18:40|
  2. 釧網本線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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