早川の渓流も梅雨の雨に潤う
80‰の急勾配を登山列車が往く

2015年6月 箱根登山鉄道 塔ノ沢
早川水面から高さ43mの単純下路ダブルワーレントラス式鉄道橋を、箱根登山鉄道の赤い電車が渡って行く。この橋梁はかなりの年代物だ。1988年製造の東海道本線の天竜川橋梁のトラス橋の一部が鉄道院から払い下げられたもので、竣工は1917年5月31日となっている。古いものにフラワー長井線(旧国鉄長井線)の最上川橋梁があるが、こちらは1987年製造の同じく東海道本線の木曽川橋梁を、1923年に移築したものだ。早川橋梁は関東大震災を、最上川橋梁は羽越水害を耐え抜いた兵どもだ。どちらも現役最古の鉄道橋と云われるが、どちらに軍配を上げるかは各人にお任せする。敢えて言えば、確かなのは最古の起源はやはり東海道本線に在るということだ。山陰本線の1912年3月1日開通の初代鋼製トレッスル橋の旧余部橋梁が残っていれば、話はさらに盛り上がったかもしれない。
鬱陶しい梅雨の只中だが、箱根登山鉄道のアジサイは今年も見頃だろう。元来は道床の土止めが目的で植えられたようだ。その後は、車窓を楽しませるものとして、社員が植え継いで行ったものだそうだ。凋落が止まらない箱根観光の影響を真面に受ける観光路線だけあって、観光資源の創出が欠かせない。社内には「沿線美化委員会」があり、ボランティア的な活動が行われているそうだ。社員の地道な活動の積み重ねが、この鉄道に欠かせない資源に繋がったわけで、北のどこかの鉄道会社にも見習ってほしいものだ。

大平台
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- 2019/07/02(火) 00:00:00|
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宮ノ下の駅は、温泉郷の観光客で何時も賑やかだ
赤い可愛い登山列車が入線する度に、大人も子供もみんな大喜びだ

2015年6月 箱根登山鉄道 宮ノ下 モハ1形のツーショット
ここ宮ノ下は、老舗の富士屋ホテルが有名な宮ノ下温泉郷にある。正月の朝の箱根駅伝で、湯治客が鈴生りになって、1国の沿道で小旗を振って応援する画が、お隣の小涌谷温泉の小涌園とともに毎年放映されている。
さすがは宮ノ下温泉郷の駅、平日だというのに、引っ切り無しに観光客が乗り降りする。駅前には足湯があり、若者たちがはしゃいでいる。駅のホームは満開の紫陽花で飾られ、観光客のスマホのいい被写体になっている。列車が入ってくるとご覧の通りの光景となる。いつも乗っている通勤電車は無機質な鉄の塊にしか見えないらしいが、宮ノ下で見る赤い可愛い登山電車は別物らしい。
箱根登山鉄道にしても江ノ電にしても、観光地と一体となった鉄道は本当に素晴らしい。車中での体験や車窓の風景、駅で列車を待つ時間だって立派な観光だ。この二つの鉄道は、立地的に特別な存在であることは間違えない。ただ、スマホを一斉に向ける観光客の方々を見ていて、このような路線から鉄道の人気が広まり、ローカル線が少しでも延命すれば、などと他愛もないことを考えてしまった。




これで梅雨の箱根登山鉄道は終わりです。
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- 2015/07/22(水) 00:17:02|
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やはり紫陽花には梅雨時の小雨が似合う
予報通りに雨となったが、列車の運行を見守る方には、恨めしい雨だろう

2015年6月 箱根登山鉄道 大平台-宮ノ下
鉄道会社も集客のために、線路端にアジサイを植栽し、夜ともなればスポットライトの演出も怠らない。予約が必要な「夜のあじさい号」も度々ニュースなどで紹介されているが、今年は箱根山の噴火のレベルが6月30日に引き上げられたので、この列車も、シーズンを残して中止になってしまった。
アジサイは数か所で見られるが、大平台のスイッチバック辺りが、カメラマンのメッカだ。周囲をぶらぶらしていると、ある小さな踏切に、鉄道会社の方らしき人が、雨に濡れながら立っていた。話を伺うと、何とカメラマンが電車を止めてしまうことがあるので、見張りをされているという。観光鉄道なので、人がやってこない事には話にならないが、電車を止められても困ってしまうだろう。また、厳しいお沙汰が下る前に、何とかなればいいのだが。どうせ、付け合わせ的な、二番、三番煎じでしかない画なのだから、ムキにならなくてもよさそうなものだが。ただ、それがカメラマン魂なのか。くれぐれも程々に。


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- 2015/07/20(月) 00:38:57|
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80‰の急勾配と30Rの急カーブに身をくねらせながら、登山電車が登ってくる
人が上り下りするのも苦しい坂道を、この電車はよく滑り落ちないものだ

2015年6月 箱根登山鉄道 大平台
小生にとって、近場の小田急電鉄傘下の江ノ電と箱根登山鉄道は、身近な被写体だ。気が向いた時に、ふらっと訪ねられるのがいい。運転本数も江ノ電が12分毎、箱根登山鉄道が12~20分間隔といったところで、上下を問わなければ待ち時間はこの半分だ。時刻表もダイヤグラムもスマホも必要ない。アングルに迷ったら全部撮ってしまえばいい。道草しながらぶらぶら歩き、気になったアングルがあれば撮る。こういう路線では、ガツガツしたって結果はついてこない。三脚も無い方がいい。余裕と好奇心をもって路地に入れば何か見つかるはずだ。ただし、どちらも近頃はカメラマンが多いのが難点だ。
今回から3回、箱根登山鉄道の梅雨の画をご覧に入れたい。登山鉄道と云えば、梅雨時の紫陽花が有名だが、人もまた凄い。最近の箱根山の噴火で、観光客が激減しているということなので、雨予報の平日に出かけてみたが、それでも観光客とカメラマンの多さには驚いてしまった。箱根、恐るべしだ。
初回のテーマはスイッチバック。箱根登山鉄道は、当初125‰のアプト式が検討されたが、結局、粘着式に落ち着いた。その代り、勾配緩和のスイッチバックが3ヶ所に造られることになった。うち二つが連続するのが、ここ大平台だ
日本の粘着式鉄道の最大勾配80‰をご堪能あれ。ちなみに、この登山鉄道は、世界遺産の70‰のベルニナ線を有する、スイスのレーティッシュ鉄道と姉妹関係にある。新型車の「アレグラ号」の名は、レーティッシュ鉄道の新型車両の名前をもらっている。


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- 2015/07/18(土) 01:15:35|
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