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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

海 騒めく

風が強く海が騒めいている
悪天候を予兆する煌めきだ

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2017年10月 室蘭本線 長和

11月が近いというのに、千葉県、福島県を中心にまたしても豪雨による洪水となった。多くの人が気象災害など自分には関係ないものだと思っていたはずだ。当のこあらまも決定的に痛い目に遭ったことはないので、その嫌いは拭えない。確かに、これまでは洪水など一部の低地に限ったことで、家屋だって沖縄並みの台風の風速想定など必要はなかった。しかし、どうも状況は急転しているようだ。

先の台風19号の豪雨では、山梨はまたしても陸の孤島になってしまった。東京へと通じる中央本線、中央自動車道、国道20号線の全てが途絶え、臨時の高速バスが東名高速経由で運行された。中央高速が復旧したため物流は何とか平静を取り戻しつつあるが、新宿方面の中央本線と国道20号は今も不通のままだ。そして、こあらまがホームにしている小海線と飯山線も全線復旧には時間が掛かりそうだ。

こうなってくると、もうとても他人事ではなくなってくる。昨年、一昨年の台風では庭が川になってしまった。家には被害はなかったが、夜中に不気味な水音で目が覚めた。近所では床下浸水のお宅もあった。このまま気象が激化すれば、家が流されるような事態も現実味を帯びてくる。幸いにも、自宅はハザードマップの土石流の危険地帯の中にはないが、近場にある湧水は土石に埋もれた記録がある。

自分の命は自分で守る。当たり前の話だが、具体的な行動の仕方などを真剣に考えたことなどあるのだろうか。いざという時に、どんな行動を起こせばいいのか。その昔、山岳写真をやっていた頃には、山では悪天候に備えて何時も逃げ道、避難方法を想定していた。町での生活でもそんな緊張感が強いられる時代になってしまったのか。台風の度に、ビービーと携帯が鳴るのはその予兆なのかもしれない。


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  1. 2019/10/26(土) 00:00:00|
  2. 室蘭本線
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静狩雨情

礼文華の山並みが雨に煙る
彼方から前照灯の光が近づく

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2018年10月 室蘭本線 静狩

数日のロケなら天候を選べるが、長期のロケでは天気は風任せだ。どんな天候であっても、一喜一憂することなく淡々と撮り続けることにしている。一年に四季があるように、晴れる日もあれば雨の日だってある。その一つ一つが日本の情景を紡ぎ出している。全てを一期一会の出会いと思って受け入れることにしている。とは言っても、やはり雨は曲者だ。人間は長靴と合羽と傘があれば用が足りるが、問題はカメラだ。色々な小道具を作ってカメラを雨から守っている。特に苦慮するのがレンズに付いた雨粒だ。ワイパー付きのフィルターか何かが欲しいところだ。苦心の甲斐なく、しょっちゅうカメラもレンズも濡らしているが、これまでトラブルは経験していない。雨の日には、主に簡易防塵防水のボディーとレンズを使っているが、それなりに機能している。高い金を出して買ったのだから濡らさないではなくて、雨の日にも使うために高い金を出している。もちろん機材は丁寧には扱ってはいるが、使い倒してこそ浮かばれるというものだ。

すっきり晴れたピカピカの編成写真が常道の静狩ストレートだが、雨の日の情景も悪くない。そう、何度となく通った長万部界隈の雨降りの原野はこんなイメージだ。スーパー北斗は礼文華の難所を越えて、長万部に滑り降りてきた。目指す函館までは100km程、80分と少々の旅路だ。


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  1. 2019/07/24(水) 00:00:00|
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ポプラ 北海道の原風景

ポプラは葉のさやめきを意味する
北の大地に煌めきの季節が訪れた

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2016年7月 室蘭本線 北船岡

今回の「ポプラ」は、広島市に本社を置くコンビニエンスストアのことではなく樹木の方だ。北海道らしい樹木といえば、多くの方がハルニレやポプラを思い浮かべることだろう。このポプラは英語で、双子葉植物綱キントラノオ目ヤナギ科ヤマナラシ属ドロノキ類に分類される植物の呼称だが、日本ではヤマナラシ類も含めてドロノキ、ヤマナラシ、クロヤマナラシの3種のポプラ属が自生する。話はややこしく、日本で一般に「ポプラ」と呼ばれているのは外来種の方だ。

北海道でよく見るポプラは、ヨーロッパ原産の「ヨーロッパクロポプラ」で、明治中期に移入されている。写真の大木がそのポプラだが、少々ずんぐりした樹形の印象だ。しかし、北大のポプラ並木や美瑛の丘のケンメリの木は、もっとスリムにすっくと天に伸びている。細かく言えば、こちらは「ヨーロッパクロポプラ」の亜種である「セイヨウハコヤナギ」という樹種で、別名「イタリアンクロポプラ」とも呼ばれる。イタリアを中心とした南欧地方に見られる地域種になる。

ポプラは成長は早いものの寿命は案外短く、数十年から百年くらいとされる。ヨーロッパ種だけあって台風の強風には弱く、洞爺丸台風では北大ポプラ並木も大きな被害を受けている。1903年に植えられたそのポプラ並木も既に寿命を迎えており、2000年には北大創基125周年記念事業の一環として「平成ポプラ並木」が植樹されている。そんな訳で、北海道開拓の百年の歴史がイメージされるポプラの木々だが、次の百年を代表する樹種になるかは甚だ微妙なところだ。


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  1. 2019/07/08(月) 00:00:00|
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鮮魚列車が往く

鮮魚列車には白い冷蔵車が連なる
スピードが命の列車に機関士の腕が鳴る

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1974年8月 室蘭本線 栗山

国鉄時代には、鮮魚輸送のための白い冷蔵車が存在した。勿論、冷凍機が備え付けられているわけではなく、単なる断熱構造があるだけの貨車で、冷却は荷に仕込まれた氷に頼らざるを得なかった。それでも、九州や北海道から、生の魚介類が輸送可能になったのは、当時としては革新的なことだった。日本の主だった漁港から、大消費地の東京や大阪に向けて、盛んに鮮魚専用列車が運行されていた。その生命線はとにかく早く目的地に着くことで、時間との戦いだった。氷の効き目は精々翌日中までで、のんびり走っている場合ではなかった。そのため、室蘭線を往く鮮魚列車でも、調子のいいデゴイチが宛がわれ、腕利きの機関士が乗務していた。道東の根室や釧路、網走、道北の稚内から、停車駅もそこそこに青函連絡船の待つ函館へとひたすら走り続けた。しかし、そんな時代は長くは続かなかった。道路網の整備が進むと、あっと言う間に鮮魚輸送はトラックへと移っていった。かくして、白い冷蔵車は1両もJRへは引き継がれず、国鉄の鮮魚貨物専用列車はその役目を終えた。


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  1. 2019/06/02(日) 00:00:00|
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ナメクジ栗山発進

客レの前位に半流D51が連結された
ナメクジ好きには堪えられないシーンだ

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1973年3月 室蘭本線 栗山

当時の室蘭本線は、九州の筑豊本線と並ぶ蒸気列車の稠密路線だった。機関車の遣り繰りのための回送は、多くで定期列車で行われていた。この線区では、重連や変則三重連をよく目にした。旅客列車も例外ではなく、C57の前位にD51が付くことがあった。この時も、待避線で休んでいたD51が連結され重連となった。塒の岩見沢第一への帰路だろう。蒸気列車では、回送と云えども、ぶら下がりで休むことは許されない。きっちり、本務機とタッグを組むことになる。リズムの異なる二つのブラストを響かせての、堂々たる栗山発進となった。

折角のC57の客レだ。前にD51が付いたのでは、普通なら悲しむべき事態だが、この時はデゴイチといってもナメクジだ。ナメクジ好きのこあらまとしては、結構感動的なシーンだ。ナメクジの客レはそうそうは拝めない。煙突前の横置きの給水温メ器がなく、煙室前面にアールが付いた顔付は、標準形のデゴイチとは別形式のようだ。シールドビームの副灯とテンダーの春闘スローガンが少々気になるが、切り詰めデフとスノープラウの北海道形のナメクジもなかなか凛々しいものだ。ちなみに、奥の軌道は夕張鉄道だ。この2年後に廃止になった。

例によって線路内での撮影だが、当時は当たり前の立ち位置だった。2両の罐も、連動するかのようにドレインをサービスしてくれた。今のJR北海道なら、すぐさまパトカーが駆けつけて連行されていることだろう。線路内への立ち入りは、時代的に無理なのは分るが、ファンを敵視するようになったのは、如何なる心境からだろうか。この時代、蒸気ファンは国鉄の大切なお客様だった。本社からもファンに便宜を図るよう通達されていたとか。蒸気も無くなり、鉄道事業者との関係も悪くなった。ナメクジばかりでなく、国鉄との蜜月時代も懐かしい。


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  1. 2019/01/11(金) 00:00:00|
  2. 室蘭本線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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