駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

大沼湖畔の邂逅

夜が明けきらぬ大沼の朝 上下の普通列車がすれ違う
東の空にも大沼の湖畔にも、秋の紅が差していた

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2016年10月 函館本線 大沼 6時23分 藤城線 5881D 森行き 既に対向列車が見えている


ここは函館本線の大沼の函館寄りのポイントだが、線路が2本走っている。上り線と下り線なら話は簡単だが、山側の1本は、七飯から渡島大野、仁山を経由して大沼に向かう本来の函館本線の筋。湖岸側のもう1本は、七飯から途中駅無しで大沼に向かう通称藤城線のルートだ。藤城線は、仁山越えの急勾配を緩和するために1966年に後付けで建設されたもので、主に下り線として使われていた。つまり、藤城線開通後は、原則、下りの旧大野町、現北斗市の玄関駅である渡島大野に用のない優等列車と貨物列車は藤城線を走り、各駅停車のみが仁山経由を走っていた。

ところが、北海道新幹線の在来線との接続が無人駅の渡島大野となり、駅名も新函館北斗に改称されたことは周知の通りである。となると、新幹線接続の優等列車は上下とも全て仁山経由となる。仁山越えの20‰の勾配など、現代のキハには大した支障ではない。かくして、この二つのルートの役割は大きく変わり、仁山経由は旅客、藤城線は貨物線と相成った。しかし、朝昼晩の下りの3本の普通列車が例外として藤城線に残った。新幹線駅を回避する世にも珍しい列車だ。業界筋では、ダイヤ編成上の措置とも、藤城線の免許を失いたくないJR北海道の思惑とも囁かれている。

何はともあれ、仁山経由の大沼発6:22の5880D函館行きと、藤城線の大沼着6:28の5881D森行きの2本の貴重な普通列車が、線路を違えて間髪入れずにこのポイントを通過する。本当に通過時刻が切迫しているので、どちらが先に来るかも判らない。おまけに、この函館側で2線が交差しているので、感覚的に湖岸寄りが仁山経由と勘違いしそうだ。湖岸の線を往く貴重な筋も失いたくない。もちろん前照灯がアクセントになる駒ヶ岳バックの上りも撮りたい。この日、カメラに記録された時刻差は1分だった。二兎を追う者は一兎をも得ずというが、さてこの出来は何兎だろうか。


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同日同所 6時24分 仁山経由 5880D 函館行き


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  1. 2017/09/14(木) 00:00:00|
  2. 函館本線
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キューロクの日 2017

蒸気はとても寒がりだ 体が冷えてしまうと直ぐには動けない
薄暗い機関庫でじっと体温を保ちながら、次の出番を待つ

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1973年3月 函館本線 倶知安機関区

ほの暗い機関庫の煤けた窓から、柔らかい雪明りが差し込んでいる
老体を横たえるように、二両の二つ目キューロクが静かな寝息を立てている
微かに立ち昇る煙と、時折漏れ出す白い蒸気が、この罐が生きている確かな証だ
晴天が何日か続き、排雪の呼び出しもなく、重装備の僚機の二両が並んで休む
それでも春浅き後志はまだ一面の銀世界に包まれ、暫くは雪への備えが続く
一旦仕業につけば乗務員とともに厳しい自然を耐え抜かなければならない
北の鉄路を守り続けた愛すべきキューロクの一時の安らぎの時間だ


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  1. 2017/09/06(水) 00:00:00|
  2. 函館本線
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国縫駅3番線

かつて、この国縫駅から西に路線が伸びていた
その記憶を留めるのは、今やこの3番線だけだ

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2016年7月 函館本線 国縫

かつてこの3番線には瀬棚線の列車が発着していた。この先で右に大きくカーブして今別を通り、日本海側の瀬棚へと路線が伸びていた。この国縫から2番目だったと思うが、「美利河」という駅と集落があった。「ぴりか」と読む。アイヌ語で「美しい」という意味らしい。例によって、駅名に惹かれて一度だけ行ってみたことがある。その名の通り、美しい川と背梁山脈を越える25‰の峠があったが、時間を掛けることなく直ぐに撤退している。当時、瀬棚線では長万部のC11が貨物を牽いていたが、撮影効率が悪く、何となくパッとしない、人気のない路線だったように記憶している。ここで時間を費やすより、大型機の走る本線の方が魅力的だったのだろう。

彼の急行ニセコが唯一の優等列車の停車だったが、1986年にニセコが廃止され、無人駅となった。国鉄最後の翌87年に瀬棚線が廃止され、JR北海道に引き継がれた。そんな国縫駅3番線は今も残っていた。レールの配置は変えられているが、錆びてはおらず、出発信号も点灯しているので、現在も上下線の待避線として使われているのだろう。この跨線橋は一見綺麗そうに見えるが、鉄骨木造構造の古いものだ。左手の木立に隠れているが、昔ながらの木造駅舎も残されている。駅だというのに一軒も家屋が見えないのは、集落が海辺の国道沿いにあるためだ。何となく寂しさが漂う広漠とした構内を、スーパー北斗が函館に向けて通過して行く。


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  1. 2017/04/29(土) 00:30:00|
  2. 函館本線
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スーパー北斗が往く

やはり、この車両はコーナリングが美しい
高速気動車が噴火湾を往く

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2015年5月 函館本線 落部

70年代、連絡船が函館に着くと、「おおぞら」、「北斗」、「おおとり」などのキハ82 特急が待っていた。北斗も随分と長生きの列車名だ。

★只今、予約更新で写真を主とした短文記事でお送りしています。


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  1. 2017/04/15(土) 00:30:00|
  2. 函館本線
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北の桟橋

北海道に豊穣の季節が訪れる頃、冬の足音が聞こえてくる
北の味が詰まったコンテナが、鉛色の内浦湾を一路内地へと向かう

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2016年10月 函館本線 石倉

海は空の色を映す鏡だ。北からの雪雲が流れ込んだ噴火湾は、冬の鉛色となった。
時化で人影の消えた小さな華奢な桟橋は、ウミネコたちの休憩所になっている

その日の82レは、定数オーバーなのか、岬の先から2両の赤熊に導かれて現れた。
身をくねらせながら往く、何処までも続くコンテナの長い列が、現代の貨物列車の姿だ。


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  1. 2017/01/05(木) 00:30:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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