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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

江の川を往く

江の川の流れに沿って列車が往く
災難をもたらす水は生命線でもある

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1973年7月 三江北線 川戸

今年も台風によって甚大な被害を被った日本列島だが、温暖化による気象の激化はもう後戻りできないところまで来てしまっているようだ。今後は自然災害に対しての認識を一変させないといけないかもしれない。風水害に対して新たな発想の家屋構造も必要だろう。台風15号では千葉県の太平洋岸で多くの木造家屋の屋根が飛ばされ、台風19号の大雨では未曽有の広範囲の大洪水となった。今晩も台風20号から変わった温帯低気圧による大雨が警戒されている。これからは、固定資産であった筈の家や土地も流動資産と考えた方がいいかもしれない。

写真は江の川に沿って上流を目指す三江北線の浜田区のC56だ。この「江の川」の名称は意外に新しく、1966年に一級河川に指定された際に付けられた名称で、以前は「可愛川(えのかわ)」、「郷川」、「江川」などと流域によって様々な呼ばれ方をしていた。この川は、洪水の絶えない川としても知らている。1945年の「枕崎台風」、1972年の「昭和47年7月豪雨」では大きな被害がでている。その度に三江北線も災害不通となってきたが、その都度不思議と再起を果してきた。その三江線も過疎化と車社会の荒波には打ち勝てず、敢え無く事尽きてしまった。

農耕民族の日本人にとって水と平地は不可欠なもので、水辺の氾濫原が最も豊かな土地であったはずだ。洪水の度に土地は肥沃になり豊穣をもたらしてきた。世界の主な文明も大河の氾濫原に起こっている。人口が集中する平地の生い立ちは殆どが沖積平野で、そもそもが洪水が造ったものだ。着の身着のままの生活ならともかく、所有物が増えていくと治水が求められるようになった。瑞穂の国の地域社会の歴史は、水を制する歴史でもあった。温暖化で急速に激しさを増す気候に人の英知が追いつけなくなった時、それはもう天罰と言わざるを得ない。


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  1. 2019/10/22(火) 00:00:00|
  2. 三江線
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雨に煙る

江の川の河口が春の雨に煙る
この鉄路の沿線はどうなったのだろうか

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2018年4月 三江線 江津本町

「鉄道がなくなると、町が廃れる」。2016年の留萌本線 留萌-増毛間、2018年の三江線、2019年の石勝線夕張支線。これらの沿線の町々は、その後一体どうなったのだろうか。いくら調べても、何も出てこない。つまり、何事もなかったかのように時が流れ続けているということだ。極少数の利用者は不便を強いられただろうが、悲しいかな、現在の車社会の進展の前では、地域住民の生活に及ぼす影響は限りなく小さいようだ。留萌線を使って雪道を30分も歩いて通院する患者はいない。鉄道を利用した方が不便な状況が出来てしまった時点で、そのローカル線の使命は終わっているのだろう。

では、なぜ地元は廃止に猛反対するのか。廃止後の補償を有利に勝ち取るためともいわれている。夕張支線のように、自治体のしたたかさが露骨に表面化した実例が現れると、強ち否定も出来ない。国が沿線自治体の了解さえあればという、人任せの無責任な廃止許可の条件が、このような金銭的和解ばかりが目立つ状況を作ってしまった。もともと鉄道のない地域は、開通の恩恵も廃止の恩恵も受けられない。政治路線も多かったことを鑑みれば、どうみても不公平だ。勿論、補償目当ての廃止反対運動ばかりではない。第三セクターとして鉄道存続を模索している地域社会には、全くもって失礼な話だ。

ただ、ローカル線の輸送人員は全国的に減少の一途だ。何処かで限界が来ることは必定で、これからも北海道を中心に廃止が続くだろう。鉄道という輸送手段のもつ特性が、現代の地方社会にはマッチしなくなったのだろう。鉄路以外に自由に進路を選べないのが、鉄道の魅力であり、鉄道の限界ということだ。


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  1. 2019/04/07(日) 00:00:00|
  2. 三江線
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さらば三江線

その昔、小さな罐が中国太郎江の川に沿って走っていた
幾多の水害を乗り越えてきた鉄路も88年の役目を終える

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1973年7月 三江北線 川戸


私的三江線年表

1926年09月 起工
1930年04月 江津-川本間が開業
1937年10月 段階的に浜原まで延伸開業
1955年03月 三江南線 三次-式敷間が旅客開業 江津口が三江北線に改称
1963年06月 三江南線 式敷-口羽間が延伸旅客開業
1973年07月 こあらま 三江北線のC56を撮る 川戸周辺
1974年08月 マイオさん 三江北線のC56を撮る 因原周辺
1974年11月 三江北線の貨物輸送のC56が無煙化
1975年08月 地元政治家により浜原-口羽間が旅客開業し、全線が開通 三江線に改称
1982年11月 江津-浜原間の貨物営業廃止
1996年06月 旧国鉄気動車がキハ120に置き換え
2012年12月 存続を賭けて、バスによる増便社会実験が開始
2016年04月 こあらま 三江線のキハ120を撮る 江津口と三次口
2017年07月 山岡亮治さん 「三江線写真集」を出版
2017年10月 風太郎さん 山岡山さんのガイドで三江線を撮る
2018年01月 山岡亮治さん 写真展「江の川に寄り添って」を三次市で開催
2018年04月 廃止予定 開業から88年目のこと


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  1. 2018/03/26(月) 00:00:00|
  2. 三江線
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消え行く三江線

数々の災難を切り抜けてきた三江線の廃止が決まった
1968年の廃線諮問から48年の歳月が経っていた

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1973年7月 三江線(三江北線) 川戸 

先日、JR西日本から三江線の廃線決定が報じられた。5年間の猶予期間のもと、三江線活性化協議会が結成され数々の利用促進に向けた取り組みが行われたが、結局自動車の利便性には勝てず、乗客を増やすことはできなかった。こうなると県も沿線自治体も返す言葉はない。JR的には、全ての儀式を滞りなく熟し、晴れて報道発表に漕ぎ着けたということだろう。そもそも只見線と三江線は、特定地方交通線で廃線となるはずだったところを、政治力で未着工部分の建設までやってのけてしまった日本を代表する政治路線だ。鉄道好きにとって廃線は辛いところだが、こういう路線はやはり考えものだ。その立役者だった越後のドンの著書が、今再び人気上昇中だそうだ。何を考えているのか分らない昨今の政治家ばかりを見ていると、単純明快で豪快な人柄に、何かしらの魅力を感じるのだろう。日本人が大好きな戦国武将に通ずるものがあるのかもしれない。ただ、時代は変わった。土建屋思考の列島改造論はもう終わりにしなくてはいけない。

画は全線開通前の三江北線時代のものだ。この時期は、豪雨災害の橋梁損傷で明塚-浜原間が不通になっており、災害暫定ダイヤが組まれていた。不通区間に仮乗降場を設けて渡船を出していたのには驚いた。当時はそれだけ鉄道が重要な交通手段だった。C56の貨物は石見川本での折り返しで、画は川戸で停車中の帰りの変1392レだ。貨物取扱駅は川戸、因原、石見川本の3駅で、それぞれ20~30分の停車時間が設定されていた。この日は直ぐに作業が終わり、夕日に照らされて、C56はのんびりと発車の時を待っていた。江の川を縫うように走る2本の軌条が無くなってしまうのは、やはり遣る瀬無い。


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  1. 2016/09/04(日) 00:30:00|
  2. 三江線
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雨降る江の川

雨に煙る江の川の岸辺を縫うように、一両のキハが河口の街江津を目指す
かつてC56貨物が通ったこの鉄路も、まもなく露と消えるだろう

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2016年4月 三江線 江津本町

三江線の廃止、正確にはバス輸送への転換がJR西日本から提起されてから、ウェブ上でも色々な意見が飛び交っている。まずは「地方切り捨て」という、お決まりの古典的な論評が登場するが、その一方で「とっとと廃線にすべきだ」、「反対するのは地方の我儘だ」、「廃止に反対する人が経営すればいい」などと、これまではあまり表面化しなかったような主張が散見される。三江線については、初めから地域間、地域内の旅客輸送の役目を果たせなかった鉄道だ。赤字の垂れ流しは、結局は誰かの財布に響いてくる。費用対効果が儘ならない路線の存続は、社会的にも批判される時代になった。

さて、そうなるとローカル線が生き延びるには、観光路線化ということになる。ムーミン、トーマス、くまもん、ガリガリ君、なんちゃって新幹線などなど、各地で色々なチャレンジがなされているが、一にも二にも話題作りということになる。従来以上に、ビジネス感覚と情報発信力が求められる。こうなってくると、旅客輸送を主とするユニバーサルサービスのJRの範疇ではなく、やはり第三セクターということになるだろう。いすみ鉄道の鳥塚氏のような優秀な経営者を発掘し、勝負に出るといった気概と算段がなければ、やはり代替えバスを受け入れるしか道はないだろう。

小生が残念に思うのは、日本に「保存鉄道」という概念がないことだ。撮影対象になるかどうかはさておいて、鉄道を残す手法としては最終手段といえるだろう。元祖のイギリスでは、100を超す路線の総延長700km程の鉄道がまるごと動態保存され、500両を越える動態保存車両が活躍している。観光客向けの蒸気列車がメインだが、路線によってはディーゼルで旅客輸送まで行っているというから勇ましい。さらに廃線の復活計画もあり羨ましい次第だ。保線から運行までの全ての作業が、主にボランティアの手に委ねられている。自己責任の精神が貫かれており、免許などは必要ないため、点検や運転までもをボランティアが担い、蒸気機関車の体験運転だってある。税制上も優遇されていることは言うまでもない。日本人なら安全性を気にするところだが、事故は極めて少なく、全く問題にならないという。それはそうだろう。鉄道を心から愛する人たちによって運行されているのだから、手抜きなどないのだろう。免許はあっても魂のないJR北海道とは訳が違う。あの「機関車トーマス」の著者ウィルバート・オードリー牧師も、元祖保存鉄道のタリスリン鉄道に深く関わっている。ここのナローの蒸気もいい感じだ。興味のある方は この鉄道のホームページ を是非覗いてみてほしい。鉄道会社顔負けの内容だ。運転本数やイベント数の多さにも驚かされる。英国人が心底鉄道好きなのが伝わって来る。日本ではイベント列車の撮影が過熱気味だが、「今週末は息子と一緒に留萌保存鉄道で機関士なんだ。」なんていう会話が聞かれるようになってほしいものだ。


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  1. 2016/08/14(日) 00:30:00|
  2. 三江線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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