駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

消え行く三江線

数々の災難を切り抜けてきた三江線の廃止が決まった
1968年の廃線諮問から48年の歳月が経っていた

05102RF16.jpg
1973年7月 三江線(三江北線) 川戸 

先日、JR西日本から三江線の廃線決定が報じられた。5年間の猶予期間のもと、三江線活性化協議会が結成され数々の利用促進に向けた取り組みが行われたが、結局自動車の利便性には勝てず、乗客を増やすことはできなかった。こうなると県も沿線自治体も返す言葉はない。JR的には、全ての儀式を滞りなく熟し、晴れて報道発表に漕ぎ着けたということだろう。そもそも只見線と三江線は、特定地方交通線で廃線となるはずだったところを、政治力で未着工部分の建設までやってのけてしまった日本を代表する政治路線だ。鉄道好きにとって廃線は辛いところだが、こういう路線はやはり考えものだ。その立役者だった越後のドンの著書が、今再び人気上昇中だそうだ。何を考えているのか分らない昨今の政治家ばかりを見ていると、単純明快で豪快な人柄に、何かしらの魅力を感じるのだろう。日本人が大好きな戦国武将に通ずるものがあるのかもしれない。ただ、時代は変わった。土建屋思考の列島改造論はもう終わりにしなくてはいけない。

画は全線開通前の三江北線時代のものだ。この時期は、豪雨災害の橋梁損傷で明塚-浜原間が不通になっており、災害暫定ダイヤが組まれていた。不通区間に仮乗降場を設けて渡船を出していたのには驚いた。当時はそれだけ鉄道が重要な交通手段だった。C56の貨物は石見川本での折り返しで、画は川戸で停車中の帰りの変1392レだ。貨物取扱駅は川戸、因原、石見川本の3駅で、それぞれ20~30分の停車時間が設定されていた。この日は直ぐに作業が終わり、夕日に照らされて、C56はのんびりと発車の時を待っていた。江の川を縫うように走る2本の軌条が無くなってしまうのは、やはり遣る瀬無い。


スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/09/04(日) 00:30:00|
  2. 三江線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

雨降る江の川

雨に煙る江の川の岸辺を縫うように、一両のキハが河口の街江津を目指す
かつてC56貨物が通ったこの鉄路も、まもなく露と消えるだろう

70007654.jpg
2016年4月 三江線 江津本町

三江線の廃止、正確にはバス輸送への転換がJR西日本から提起されてから、ウェブ上でも色々な意見が飛び交っている。まずは「地方切り捨て」という、お決まりの古典的な論評が登場するが、その一方で「とっとと廃線にすべきだ」、「反対するのは地方の我儘だ」、「廃止に反対する人が経営すればいい」などと、これまではあまり表面化しなかったような主張が散見される。三江線については、初めから地域間、地域内の旅客輸送の役目を果たせなかった鉄道だ。赤字の垂れ流しは、結局は誰かの財布に響いてくる。費用対効果が儘ならない路線の存続は、社会的にも批判される時代になった。

さて、そうなるとローカル線が生き延びるには、観光路線化ということになる。ムーミン、トーマス、くまもん、ガリガリ君、なんちゃって新幹線などなど、各地で色々なチャレンジがなされているが、一にも二にも話題作りということになる。従来以上に、ビジネス感覚と情報発信力が求められる。こうなってくると、旅客輸送を主とするユニバーサルサービスのJRの範疇ではなく、やはり第三セクターということになるだろう。いすみ鉄道の鳥塚氏のような優秀な経営者を発掘し、勝負に出るといった気概と算段がなければ、やはり代替えバスを受け入れるしか道はないだろう。

小生が残念に思うのは、日本に「保存鉄道」という概念がないことだ。撮影対象になるかどうかはさておいて、鉄道を残す手法としては最終手段といえるだろう。元祖のイギリスでは、100を超す路線の総延長700km程の鉄道がまるごと動態保存され、500両を越える動態保存車両が活躍している。観光客向けの蒸気列車がメインだが、路線によってはディーゼルで旅客輸送まで行っているというから勇ましい。さらに廃線の復活計画もあり羨ましい次第だ。保線から運行までの全ての作業が、主にボランティアの手に委ねられている。自己責任の精神が貫かれており、免許などは必要ないため、点検や運転までもをボランティアが担い、蒸気機関車の体験運転だってある。税制上も優遇されていることは言うまでもない。日本人なら安全性を気にするところだが、事故は極めて少なく、全く問題にならないという。それはそうだろう。鉄道を心から愛する人たちによって運行されているのだから、手抜きなどないのだろう。免許はあっても魂のないJR北海道とは訳が違う。あの「機関車トーマス」の著者ウィルバート・オードリー牧師も、元祖保存鉄道のタリスリン鉄道に深く関わっている。ここのナローの蒸気もいい感じだ。興味のある方は この鉄道のホームページ を是非覗いてみてほしい。鉄道会社顔負けの内容だ。運転本数やイベント数の多さにも驚かされる。英国人が心底鉄道好きなのが伝わって来る。日本ではイベント列車の撮影が過熱気味だが、「今週末は息子と一緒に留萌保存鉄道で機関士なんだ。」なんていう会話が聞かれるようになってほしいものだ。


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/08/14(日) 00:30:00|
  2. 三江線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

山峡の駅

江の川沿いの山峡の駅に、C56の引く貨物列車がやって来た。
生活物資なのか、手荷物なのか、貨車から降ろされた荷が、リヤカーで運ばれてゆく。

05035RF16.jpg
1973年7月 三江線(三江北線) 川戸

島根県江津から江の川を遡ること14kmのところに旧桜江町がある。何とも美しい名の町だ。現在は江津市に編入されている。三江線の開業時は、ここ桜江町中心の川戸が終着駅だった。その後、延伸されていったが、1955年の三江南線の開業で、三江北線に改称。1975年の三次までの全通に伴い新線、三江南線を編入し、再び三江線となった。撮影は、全通2年前の「三江北線」時代だ。

当時、浜田のC56が、貨物を引いて、江の川沿いの山峡の町々を巡っていた。何を運んでいたかは調べがつかないが、ローカル線にしては長い編成だったように記憶している。この川戸では、駅員が何やら荷物をリヤカーで運んでいる。C56は暫しの休憩だ。

この三江線も数奇な路線だ。1968年に国鉄諮問委員会が、廃止対象として挙げた赤字83路線に、三江北線・南線ともに入っている。廃止計画は結局頓挫してしまうが、三江線の全線開通は指定から7年後で、よくこのタイミングで開通出来たものだ。2006年と2013年の2度の大水害からもJRの大きな出費にも拘わらず復旧している。陰陽連絡路線の役目も果たせず、もっぱら地域住民の域内移動需要のみで推移してきた、全JR線中最悪の輸送人員の路線にしては不思議なところだ。鉄道好きには結構なことだか、何れでも島根県の強い働きかけがあったといわれるが、効果の程は闇の中だ。何となく、生い立ちが只見線に似ているが、只見線は水害から復旧することは出来そうもない。廃線になるか否かの分かれ目は、いつも分からないことだらけだ。

  1. 2015/02/16(月) 01:57:08|
  2. 三江線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

小海線 (99)
飯山線 (20)
宗谷本線 (13)
天北線 (1)
興浜北線 (1)
深名線 (1)
石北本線 (7)
渚滑線 (2)
湧網線 (1)
相生線 (2)
釧網本線 (3)
根室本線 (2)
池北線 (1)
広尾線 (2)
留萌本線 (7)
札沼線 (1)
函館本線 (36)
室蘭本線 (6)
千歳線 (1)
日高本線 (3)
江差線 (11)
大湊線 (4)
津軽鉄道 (1)
五能線 (2)
八戸線 (3)
花輪線 (1)
三陸鉄道 (2)
釜石線 (8)
秋田内陸縦貫鉄道 (2)
由利高原鉄道 (1)
米坂線 (2)
磐越西線 (1)
日中線 (3)
只見線 (41)
真岡鐡道 (14)
東北本線 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (3)
東海道本線 (2)
八高線 (8)
秩父鉄道 (7)
西武池袋線 (1)
西武山口線 (1)
江ノ島電鉄 (10)
箱根登山鉄道 (3)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (1)
関西本線 (2)
宮津線 (1)
山陰本線 (22)
播但線 (1)
姫新線 (3)
津山線 (1)
芸備線 (6)
木次線 (1)
三江線 (3)
山口線 (5)
日豊本線 (14)
筑豊本線 (5)
後藤寺線 (1)
唐津線 (3)
松浦線 (3)
大村線 (1)
長崎本線 (2)
久大本線 (2)
豊肥本線 (2)
高森線 (1)
肥薩線 (12)
日南線 (2)
写真集・書籍 (3)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR