鉛色の富山湾を晩秋の雨が叩く
日本海に間もなく厳しい冬が訪れる

2020年11月 氷見線 雨晴
富山湾が憂鬱な雨の朝を迎えた。晴れていれば、バックに朝焼けの北アルプスの山並みが続いているはずだが、生憎の雨模様で視界が優れない。前線が通過中で、近頃の降れば大降りの倣い通りに、雨風共に激しくなってきた。もうとうに夜は明けているが、どんよりとした厚い雨雲のお陰で辺りは薄暗く、並行する国道には赤いデールライトが濡れた路面を流れて行く。こうして見ると、鉄道車両は車と比べると相当に大きい。頑丈が売りの国鉄の鉄仮面と衝突しようものなら、華奢でひ弱な軽自動車などひとたまりもないだろ。キハ47ばかりの3両編成の氷見行きは、悪天候で人気のない名勝雨晴海岸を横目に、間もなく雨晴駅に滑り込む。
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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真
- 2020/12/10(木) 00:00:00|
- 氷見線
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日本海に剱岳の岩峰が浮かぶ
そこにはかつて辿った道がある

2020年11月 氷見線 雨晴
山岳写真をやっていた頃、剱岳は最も胸躍る頂きのひとつだった。峻険な岩峰群には、人を寄せ付けない気迫のようなものが感じられた。日本海に近い豪雪地帯の立山連峰の中にあって、日本では数少ない氷河を擁する頂でもあった。アプローチのメインルートは立山黒部アルペンルートの室堂に始まる別山尾根ルートだが、アルペンルートが氷雪に閉ざされる冬季ともなると、写真に写る上市町馬場島からの早月尾根が現実的な唯一のルートとなる。この2ルート以外にも、稜線ルートや谷ルートの数々の登攀ルートが開拓されているが、ロッククライミングの要素が強く、一般的な登山者の領域ではない。標高はと云うと、現在の公式標高はGPS測量で2,999mとされる。過去地上写真測量で3,003mとされたこともあったが、地元の政治的圧力による3,000m級であったとされている。
そんな山岳写真時代からの名峰剱岳だが、今では鉄道と絡めて楽しむことと相成った。11月初旬だが既に北アルプスの稜線は雪を頂いている。気象条件に恵まれて、この日は朝からずっと山並みを捉えることが出来た。彼方の雪山を眺めながら、城端から北上して、夕方に雨晴に着いた。ちょっと前まで名峰には日が当たっており残照の様相だったが、やって来たのは忍者ハットリくんのラッピング車だった。そちらをアップしてもよかったのだが、やはり原色タラコの方がしっくり来る。日は沈んでしまったが、夕暮れが迫り、ヘッドライトの明るさも増してきて、こちらもななかないい時間帯ではないだろうか。こうやって剱を眺めていると、また山岳写真に戻ってみたくもなるが、もう体力が追いつかないだろう。鉄道の方は、国鉄型が消える一方で、こちらはこちらでなかなか厳しい。
テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真
- 2020/11/16(月) 00:00:00|
- 氷見線
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