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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

確かにそこに駅は在った 高千穂線 高千穂

何とも、国鉄キハ20には似合わない雰囲気の駅だ。それもそのはずで、この駅の開業は1972年7月と新しい。この写真を撮ったのが1977年8月なので、開業満5年の姿になる。この鉄道は、熊本と延岡を結ぶ九州横断鉄道として建設が進められた。まずは豊肥線立野から高森線が開通し、次いで延岡からの日ノ影線が開業したが、太平洋戦争で横断計画は頓挫した。そして、1966年、あの鉄建公団こと日本鉄道建設公団により、日ノ影からの延伸工事が再開され、1972年に高千穂まで開通、残る高森までの区間にも着手した。

しかし、高森トンネル掘削工事で、調度写真の1977年に水脈を切断するという痛恨のミスを犯してしまい、高森町内の水利に大きな被害が出てしまった。そのため、工事は中断、公団は被害の救済と補償に当たらなくてはならなくなった。そうこうしているうちに、1980年に国鉄再建法が成立し、工事自体が凍結となってしまった。工事の進捗率はおよそ30%だった。20数キロ先の、駅の向こうに見える山並みを越えたところに、目指した高森がある。不自然に広々とした構内は、全線開通後の賑わいを想定していたのだろう。


19336F.jpg


さて、そこまでが国鉄時代の話だ。大枚を叩いて高千穂まで延伸し、日ノ影線から高千穂線に名を変えたのも束の間、1984年には第2次特定地方交通線として廃止が承認されてしまう。1987年、国鉄分割民営化で一時JR九州にお預けになるが、1989年に第三セクターの高千穂鉄道に転換される。第三セクターは好調なスタートを切ったが、2005年の台風14号による増水で、二つの橋梁が流失。国、地元自治体ともに、復旧の財政出動に難色が示され、その年に早々に復旧断念が決定され、2008年、高千穂線は廃止された。

もし高森トンネルが無事に開通していたら、高森線、高千穂線はどうなっていたのだろうか。阿蘇と高千穂と云う2大観光地を結ぶ、風光明媚な車窓が楽しめる人気の鉄道となっていたかもしれない。乗り鉄趣味にはかなりランキングの高い路線になっていただろう。しかし、台風と地震を乗り越えられたかは甚だ疑問だ。台風であっさり廃線となった高千穂鉄道。地震で大被害となったが、国の支援で復旧を目指す南阿蘇鉄道。何が違ってこうなるのか。どうせなら立野-延岡間を復旧させた方が、先は明るいように思えるのだが。


余談になるが、知っている方がおられたら教えてほしい。「日之影」の「之」の標記はどうなっているのかということだ。こあらまが調べたところ、旧七折村と旧岩井川村の境辺りに、「日之影」と付く集落が幾つかある。現在の町役場がある一帯になる。1951年に両村が合併して「日の影」町が生まれた。多分、実在の「日之影」を使わなかったのは、住民感情を和らげるためだったのではないか。しかし、たった5年後の1956年の岩戸村見立地区の編入に際して、実在の「日之影」町に改名して、現在に至っている。ところが、1939年開業の国鉄の駅は「日ノ影」駅で、路線名も「日ノ影」線だった。「日ノ影」の標記が何処から出てきたのか全く分からない。「日ノ影」駅は、高千穂鉄道時代の1995年に「日之影」温泉駅に改称している。ネットには、「日之影線のC12」とかの妙な記述も目立つ。地名の謂れからすると、漢字の「之」でも、ひらがなの「の」でも、カタカナの「ノ」でも、どれでもよさそうなものだが、地名や町名、駅名や路線名ともなるとそうはいかない。国鉄の「日ノ影」はどこから来たのか。時代的背景からカタカナになってしまったのか。ご存知の方がおられたらご教示いただきたい。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2020/06/23(火) 00:00:00|
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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