等高線に沿って鉄路が伸びる
気象激化に細道の存亡が掛かる

2020年4月 土讃線 吾桑
相変わらず梅雨の大雨が続いている。肥薩線川線の被害状況が大分明らかになってきたが、想像以上の大災害で、復旧できるのか心配になってきた。河口部を除くと、球磨川には4つの鉄道橋が架かるが、第一、第二、そして現在のくま川鉄道の第四の3つまでもが流されてしまった。残ったのは、人吉市街の山線の第三のみだ。くま川鉄道にとって、第四球磨川橋梁の流失が致命傷にならないといいのだが、そちらの方も心配だ。さらに、2017年の九州北部豪雨で被災した久大本線が、またしてもズタズタになってしまった。懸命の復旧工事による運転再開だったが、何と運の悪いことだろうか。今回の梅雨前線の停滞は、気象庁も経験のない事態だと述べている。今後は、経験則が通用しない気象現象が起きるということだ。コロナ感染を防ぐか、経済活動を維持するか。温暖化を防ぐか、これまでの生活様式を維持するか。なかなか解決の糸口が見つからない。
さて、今回の写真は土讃線の小さな峠道だ。鉄道黎明期に敷設された鉄路は、こんなか細い道が多い。かの鉄道建設公団の設計のように、金を湯水のごとく使って、自然の地形をねじ伏せるような力技で造られた路線は、コンクリートの化け物以外の何物でもないが、確かに頑丈そうではある。昔の路線は、自然への侵襲は少ないが、自然災害を受けやすい。この区間も土砂崩れの危険性が高そうだ。一方、日本の山間部の集落は、写真のごとく、平地を田畑に使うため、家屋は斜面の縁ということになる。これが、土砂崩れ災害を悲惨にしている大きな原因だが、悲しいかな、平地の少ない日本の宿命と言っていい。土砂災害現場の映像を見るにつけ、何でそんな場所に住んでるのと思うが、人口が急増していた時代のやむを得ない事情からだろう。しかし、日本も人口がシュリンクする時代に入った。気象の激化からしても、少し考え直した方がいいかもしれない。
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- 2020/07/09(木) 00:00:00|
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その名はずばり「歩危マート」
ボケ封じとばかりに寄ってみた

2020年4月 土讃線 大歩危
吉野川の絶壁の上に大歩危駅は在る。大歩危・小歩危は土讃線の難所でり、絶景ポイントでもある。岩壁を穿って鉄路が伸びているが、四国の幹線だけあって危険個所のトンネル化が進んでいる。長期的には、電化の計画もある。大歩危は、秘境祖谷渓の玄関口として、全ての特急列車が停車するが、完全な無人駅になっている。駅舎の事務室には三好市観光協会が入っているので、人の気配がないわけではない。特急は停まるが、普通列車は一流のローカル線といったところで、地域内の鉄道利用はかなり少ない。そして、駅前の小さなロータリーの向かいに、その店がある。


「歩危マート」とは、思わず笑える店名だ。単に地名を冠しただけだが、なかなかユニークなゴロになっている。地元向けの小さなスーパーと、観光客向けの飲食のための2号店からなっている。以前来た時には、気にはなったが、店に寄ることなく祖谷渓へと向かったが、今回はしっかりと大歩危駅でのロケとなった。勿論、この店が目的で大歩危に来たわけではないが、楽しみにはしていた。地場の食材が豊富というのが魅力だ。その土地独特の食い物を食い歩くのが旅の大きな楽しみでもある。歩危マートで人気なのが、「ぼけあげ」というデカい油揚げだが、その大きさには驚く。車中泊でも食えそうなものをいくつか入手した。店先の文旦も買ったが、この先の愛媛で、農家から持ちきれないほどの柑橘を頂くことになった。この辺りが、四国のお接待文化なのだろう。有難いものだ。
それと、密かな目的として「ボケ封じ」があった。年と共に物忘れが多くなってきたが、何処までが正常範囲で、どこからが認知症なのかが判らない。取り敢えず、歩危マートで買い物でもすれば、ボケ封じにつながるのではないかと云った勝手なことも考えていた。そうこうしているうちに、特急列車の到着時間となった。夕日に輝く新緑の中から、岡山から高知に向かう「南風」が現れた。確か、「南風」は、山陽新幹線の岡山開業の際に登場した四国初の特急だったと記憶している。初代はキハ181だったはずだ。


最後の写真は、駅横の吉野川に掛かる車道の橋から撮ったものだ。中央が駅舎で、屋根に大歩危駅とある。その右上に歩危マートの看板が見える。山の斜面には集落があるが、落っこちてきそうだ。年を取ったら住めそうもない坂道だ。池田に行けば大きなスーパーもあるが、こういう店が生命線になっている家も少なからずあるのだろう。歩危マートには立派なHPがある。ご興味のある方は、
こちらへ。
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- 2020/06/27(土) 00:00:00|
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滑らかなコーナリングには情報取集だ
ナビゲータ―が線形データを読み上げる

2020年4月 土讃線 岡花
不勉強にも今時の車輛については、全くと言っていいほど知識がない。外出自粛も続いていたこともあり、せめて撮ったものくらい何者なのかを少々調べてみた。まずは基礎。JR四国の新造車は、数字のみの形式、車番表示を採っているとのこと。そして、写真は2000系というらしい。先頭車の顔にそう書いてあるので間違いないだろう。2000年を目前に開発されたから2000系らしいが、何ともお気軽な命名だ。そして、「制御付自然振り子方式」という世界初のシステムを搭載とのことだ。予め走行路線の線形データ等を記憶させて、自然振り子の応答時間のラグタイムを補おうというわけだ。つまり、ナビゲーターが仕込まれているということだ。
この振り子システムは、自動車ラリーのやり方に似ている。主流となっているスプリントラリーでは、まず「レッキ」と呼ばれる事前走行を行い、競技区間であるスペシャルステージ(SS)のコーナー角度や路面状態などを事細かく書き込んだ「ペースノート」が作られる。本番では、ナビゲーターが、このペースノートの内容をドライバーに順次読み上げて、最速のコーナリングを追求する。2000系では、このペースノートに相当する線形等のデータによって、振り子を制御する。写真の列車は、左の直線をかなりのスピードで駆け降りて来た。カーブに入るちょっと手前で車体が傾き出し、減速することなく、滑らかにコーナリングができるという寸法だ。
ついでにラリー絡みの脱線を続けるが、今年の初めだったが、清里のカレーが有名なレストランで、シノケンこと篠塚健次郎さんと奥様にお会いした。1980年代、F1の中嶋悟さんとともに、日本の四輪モータースポーツの顔となった方だ。1990年代にはRVブームが到来し、三菱パジェロも好調に販売台数を伸ばしたが、昨年、日本国内モデルが生産終了となった。ランエボについても2016年に販売が終了している。どうも、昨今の日本のモータースポーツは元気がない。若者の車離れも加速するばかりだ。移動の道具として割り切るのが、成熟した車社会ということか。ちなみに、うちの上さんは、山口百恵さん絡みの方しか興味がなさそうだった。
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- 2020/05/26(火) 00:00:00|
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