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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

歌内 06時57分

朝露の降りた秋の原野に朝日が昇る
何時しか木造駅舎は貨車へと化けていた

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2018年10月 宗谷本線 歌内

この駅にも、現役蒸気の頃には、立派な木造駅舎と相対式ホームの交換設備、そして貨物用の引込線も存在していた。貨物の取り扱いが終了。荷物の取り扱いも終了。CTC導入による無人化。国鉄の分割民営化。駅の縮小は続き、ついにこんな貨車駅舎になってしまった。交換設備も剥がされ、例によって特異的な湾曲を持つ棒線となった。列車も減便の一途で、現在では3往復の普通列車が停車するのみだ。残るは廃駅だが、中川町の反発が著しく、当面はJR北で維持することになっている。

真っ暗な早朝の05:20に稚内を発った上り始発の4324Dが、06:57に朝日を浴びて歌内に到着した。すでに集落からは高校生も去り、停車の甲斐もなく乗降客は皆無で、暫し原野にアイドリング音を響かせた後、再び名寄に向けて南下して行った。毎朝人知れずこの駅で繰り返されるルーティーンだが、何時まで続くかは予断を許さないところだ。宗谷本線の小駅は皆同じような状況だ。現役蒸気時代に在った駅の幾つかは既に姿を消している。一日3往復のダイヤは、どう見ても限界を超えている。


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  1. 2019/11/03(日) 01:00:00|
  2. 宗谷本線
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塩狩 秋

塩狩を囲む山並みが秋色に染まった
夕日を浴びてヨンマルが静かに峠を下る

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2018年10月 宗谷本線 塩狩

この塩狩も不思議と足が向いてしまう駅だ。近隣にあるのは塩狩峠記念館と塩狩ヒュッテ、二軒の民家、そして塩狩峠一目千本櫻だけだ。普段この駅を利用するのは、二つの施設の来訪者と秘境駅趣味の旅人くらいだ。どう見ても駅と云うよりは信号場としての役割が大きい。当然、JR北の「廃止を含めた管理の見直し」の対象駅になっている。塩狩ヒュッテのオーナーの合田康代さんが、塩狩駅存続を求める署名運動をなさっていたが、何らかの進展がみられたのだろうか。和寒町より知名度が高いと思われる塩狩峠から駅が無くなってしまうことにでもなれば、和寒町民にとっては身を切られる思いだろう。

秋も深まり峠の山並みも紅に染まった。日が短くなり、峠道は早くも夕日の風情となった。単車のヨンマルが塩狩を後にして静かに和寒へ下ろうとしている。このきめの細かい繊細な駅周りの木立がこの駅の魅力の一つかもしれない。


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  1. 2019/11/01(金) 00:00:00|
  2. 宗谷本線
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線路の向こうに 北星

秋色の中に一条の線路が伸びる
最果ての町を繋ぐ最後の鉄路だ

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2018年10月 宗谷本線 北星

この駅は、一見すると国鉄の仮乗降場だったように見えるが、1959年の開業時から不思議とずっと正式な駅だ。ただし、駅員が配置されたことは一度もない生粋の無人駅だ。2016年には、JR北から廃止が通告されたようだが、地元名寄市の反対で今現在も駅は残っている。一日乗降者数が1未満と、予断を許さない状況にはある。木造デッキ式ホームから少し離れた場所に、「毛織の北紡」の赤いホーロー看板が掲げられた待合所があり、駅巡りのファンには知られた存在だ。

周囲の山が美しい秋色に染まり、紅葉の盛りを迎えた。しかし、この駅に停車する列車は日に4往復で、秋を愛でる来訪者は皆無に等しい。例によって、この駅の紅葉も人知れず散っていくことになる。人だかりの紅葉狩りなど止めにして、こんなところで静かな時間を楽しもうという人が増えれば、宗谷本線と北星駅もちょっとだけ長生きできるかもしれない。


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  1. 2019/10/06(日) 00:00:00|
  2. 宗谷本線
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宗谷を往く

秋の牧草地は刈り取りの季節を迎えた
宗谷の酪農地帯をサロベツが南下する

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2018年10月 宗谷本線 兜沼

日本にもこんな場所が在ったんだなと思わせるような広大な眺めだ。もう、ここまで来ると稚内まで町らしい町はない。農業も宗谷の気候と土壌ではなかなか叶わない。残されたのは酪農で、丘陵地帯に何処までも緑の牧草地が広がる。調度この頃は牧草の刈取り時期に当たる。トラクタで刈った牧草は、そのまま3、4日牧草地で天日乾燥される。次にロールベーラーでロール状に巻き取り、さらに牧草地で乾燥する。最後に白や黒などのラップフィルムで包めば、コロンとも呼ばれるロールベールが出来上がる。中の牧草は時間を掛けてゆっくりと発酵し、サイレージという飼料になる。そして、長く厳しい冬の間の乳牛の保存食となる。作業の殆どは機械化され肉体労働は少ない。一昔前であれば、刈られた牧草はサイロに圧縮保存されていたが、今ではこのロールベールが主流になっている。

秋の風物詩の牧草地のロールベールの傍らで、キタキツネが秋の日差しを浴びて微睡んでいた。間もなく訪れる氷雪の季節を前に、宗谷には穏やかな時間が流れていた。


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  1. 2019/09/30(月) 00:00:00|
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ビート畑の夜明け

収穫真っ盛りでトラクタは現場で駐泊だ
毎朝2本の送込みがビート畑を下って往く

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2018年10月 宗谷本線 美深

砂糖の原料といえば、南の島のサトウキビが真っ先に思い浮かぶが、国産原料の4分の3を占めるのは実は北のテンサイだ。面白いことに南の沖縄県、鹿児島県、北の北海道が砂糖の故郷になる。10月中旬、北海道ではテンサイの収穫のピークを迎える。この別名サトウダイコンとも称せられるフダンソウ属の二年草は、その属名である「Beta」からビートとも呼ばれる。寒冷地作物のため北海道の気候に適し、搾りかすは家畜の飼料になるため酪農王国に相応しい作物だ。日本の甜菜糖業の歴史は、1879年に現在の伊達市と札幌市に建設された官営工場に始まり、現在ではホクレンや北海道糖業に引き継がれている。北海道内ではこの時期一斉に収穫作業が始まり、収穫されたビートは専用の大型トラックで製糖工場へとピストン輸送される。

美深のビート畑が薄っすらと白みだした朝6時、キハ40の心地良いジョイント音が遠くから聞こえてくる。回4353Dが単車で名寄から音威子府に向かう。音威子府の上り始発の4322D旭川行きの送り込みだ。美深に戻ってくるのは07時14分になる。それより前の5時過ぎには、回4351Dが同じく名寄から音威子府に向かったが、まだまだ暗過ぎて、走行音と前照灯の明かりをチラっと見つけるのがやっとだった。音威子府からは下り始発の4321D稚内行きとなる。2本の送込回送が人知れず下っていったが、この地の下り始発は08時21分になる。つまりこの町の人々は名寄との結びつきが強く、音威子府方面には通勤通学客はいないようだ。何となく後ろの1本くらいは営業運転してもよさそうなものだが、乗客が皆無なら停まるだけ燃料の無駄ということになるのだろう。車両基地が少なく、駐泊も避けようというなら、ローカル長距離路線の車の遣り繰りは相当に厳しいものがある。


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  1. 2019/09/20(金) 00:00:00|
  2. 宗谷本線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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