久しぶりに石炭列車を目にした
まるでタイムスリップしたかのようだ

2018年10月 太平洋石炭販売輸送臨港線 春採
日本各地で石炭が盛んに掘られていた時代、鉄道はその陸路輸送を一手に担っていた。南の筑豊本線、北の室蘭本線には、長大編成の石炭列車が行き交っていた。網の目のように、ヤマへと支線が張り巡らされ、キューロクなどがその集積に当たっていた。そんな時代も、エネルギー政策が石炭から石油へシフトし、国の大号令で一気に終わりを告げた。そんな中、ただ一つ坑内掘りで石炭生産を続けている会社がある。釧路市の釧路コールマイン株式会社だ。太平洋炭礦が所有する設備を使って運営されている。株主は釧路の地場企業で構成され、メジャーには属さない独立系のエネルギー企業だ。
その釧路コールマインの石炭輸送を担当するのが、太平洋石炭販売輸送株式会社となる。選炭工場のある春採から、積出港で貯炭場のある知人を結ぶ臨港線を運営している。ディーゼル機関車4輌、貨車(セキ)28輌を有する小さな貨物鉄道会社だ。

これが春採駅の駅舎ならぬ事業所の建屋だ。ここで、撮影の許しをもらったり、列車の運行情報などを入手する。太平洋炭礦時代は結構な本数が走っていたらしいが、現在は完全な不定期制。出炭があるときのみ運行される。この日は、「午後に1本走らせるかもしれない」という、何とも連れないお言葉に、走行写真は諦めることにした。

待機中の編成だ。両端に機関車が付き、プッシュプル運転される。このD801は雄別鉄道、釧路開発埠頭線を経てここにやって来た。どう見ても国鉄のDD13だ。

セキ6000形は連接車だ。2両が1組で3台車に乗っている。国鉄にもセキ6000形というのがあったが、関係はないようだ。

春採の構内はこんな感じだ。中央が機関庫で、その横にD401とDE601が見える。

1970年製の電気式のDE601。GEの機関車だが日本車輌で組み立てられている。片側エンドキャブの日本では珍しい独特の容姿だ。

石炭輸送鉄道の必需品のホッパーが見える。積載しているのを見たかったのだが、静かそのものだった。昔は石炭施設と云えば黒く煤けたものばかりだったが、今の時代はこんなか。


ちょっと見、産業遺跡のようだが、現役の施設だ。太平洋下320mの海底で採炭された良質の石炭が、ここまでベルトコンベアで運ばれてくる。国の「産炭国石炭産業高度化事業」の受託で成り立ってはいるものの、近年の石炭の高騰で業績は好調のようだ。原子力発電の思わぬ大参事で、火力発電用の石炭の需要も高まっている。石炭火力発電の二酸化炭素の排出量を減らす技術も、大きく進歩しているらしい。この鉄道が生きながらえるかは、何とも微妙なところだ。
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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真
- 2018/11/27(火) 00:00:00|
- 太平洋石炭販売輸送臨港線
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