駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

冬の気配

風向きが北西に変わり、海の色が変わった
風合瀬を出たキハと海越しに一瞬目が合った

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2016年10月 五能線 風合瀬

先日、品川のキャノンで猪井貴志氏の写真展「鉄道漁師」を拝見した。ちょうど猪井さんがおられたので色々とお話を伺ったが、まずはそのカッコよさに感心させられる。一時期、あの真島さんと鉄道写真の双璧を成した方だが、共通点はお二人ともカッコいいことだ。真島さんの口癖は「写真は自分を映す鏡だ」だったそうだ。カッコいい鉄道写真を撮るためには、まずは自分がカッコよくなくてはならないということだ。何とも耳の痛い話だ。お茶目な風貌で「ゆる鉄」を編み出した御仁もおられるので、その関係は満更ではなさそうだ。自分でどんな写真が撮れるかは、まずは鏡にでも聞いてみた方がいいかもしれない。

さて、その「鉄道漁師」にインスピレーションを貰って選んだのが今日の一枚だ。誰が名付けたのか「風合瀬」とは旅情をくすぐる地名と駅名だ。単なる連想なので、何の意味合いもない。この「漁師」という言葉の持つイメージは、風景探しに奔走するカメラマンには、違和感なく受け入れられるものだろう。季節の魚を狙って、漁師が小舟で船出する。カメラマンの季節探しの旅にも通ずるところがある。漁の成果の次第は、腕前なのか、運なのか、それとも天候なのか。中には、鉄砲ならぬ長玉を携えて、ひたすら山中を徘徊する、俯瞰症に侵された「鉄道猟師」、はたまた「鉄道マタギ」の方もたくさんおられることだろう。


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  1. 2017/08/17(木) 00:30:00|
  2. 五能線
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下北の夏

起伏の少ない丘陵がどこまでも続いている
穏やかな夏の陸奥湾を横目に単行キハが走り抜ける

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2016年7月 大湊線 吹越

平坦線でカーブも勾配も少なく、駅間距離も長い大湊線の列車は頗る速い。特に有戸-吹越間では駅間13.4kmを12分程で走り抜け、最高速度は85km/hに達する。快速は全線58.4kmを51分で走破し、表定速度は68.7km/hにもなる。ローカル線には似つかわしくない速さだ。短尺のキハ100系でも330PSの機関を積んでおり、キハ20系やキハ40系の時代の走行性能とは比べものにならない。それでも、陸奥湾を望む長いストレートを走り切るには、それなりの時間が掛かる。前照灯を確認してから、テールライトが視界から消えるまで、ファインダー越しに、じっくりと高速キハの走りが観察できる。DMH17エンジンには強い郷愁を覚えるが、これがJR東日本のローカル線の今の姿だ。ただ、早いものでキハ100/110系が登場して27年となった。つまり、キハ20系が絶滅危惧種になってから、既にこれだけの時間が流れたということだ。


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  1. 2017/08/15(火) 00:30:00|
  2. 大湊線
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天空の時間 空に一番近い列車 2017 No.5

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【ご案内】
このシリーズでは写真だけをご覧いただいております。個々の写真には題名も文書も付けていません。ごゆっくりお楽しみいただければ幸いです。路線は小海線。撮影は2017年夏です。


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  1. 2017/08/13(日) 00:30:00|
  2. 小海線
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道東の草の香り

細く伸びる鉄路が道東の小さな町を繋いでいた
キューロクの汽笛が夏空の山々に木霊する

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1974年8月 相生線 北見相生

この写真を見ていると、あの夏の日、線路端でひとり汽車を待った道東の臭いがしてくる
北の大地の伸びやかな風景と、その中をコトコトと往くキューロクの貨物列車がたまらなく好きだった
頑強なキューロクの姿は去り、夏草の香りのするローカル線も後を追うように次々と消えていった
二軸貨車がほんの数両の短い貨物列車は、第二網走川橋梁を渡り、まもなく終点の北見相生に達する
林業が盛んだった頃、オホーツクの原生林に分け入る沿線風景にも、確かに人の営みが感じられた
日中の草いきれをよそに、早くも秋の気配が忍び寄り、青空に夏雲が見られるのももう僅かだ 
風雪に閉ざされる極寒の地の一時の夏が、静かに終わろうとしていた


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  1. 2017/08/11(金) 00:30:00|
  2. 相生線
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有明海の1号機関車

この鉄道は、日本の1号機関車が走ることで始まった
有明海を望む小さな入江の町を、黄色いキハが巡る

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2017年4月 島原鉄道 古部

九州の私鉄と言えば、大手の西日本鉄道だが、中小でも意外と少ない。筑豊電気鉄道、熊本電気鉄道、島原鉄道と、軌道事業者の長崎電気軌道の計4社だけだ。その中でも、福岡、熊本、長崎の市街地を往く3社と一線を画すのが島原鉄道だ。島原半島で非電化43.2kmを維持しているのは立派なものだ。普賢岳の火砕流災害からの復旧に際して、地元自治体からの支援を受け、長崎県の部長、島原、諫早、雲仙の市長も取締役に名を連ねており、今では私鉄起源の第三セクターと言えなくもない。今年の決算報告では、苦しいながらも、前年並みの鉄道旅客収入が維持されていたが、鉄道部門の赤字を、フェリーやホテル、不動産賃借の事業収益で補っているのが実情だ。

かつては、官営鉄道や国鉄の車両のお下がりを、数多く受け入れてきた島原鉄道だが、現在は自前の新潟鐵工所製の黄色のボディーカラーのキハ2500形と2550形に統一されている。JR九州がローカル線のキハ40族の置き換えのために導入を進めている同じ黄色のキハ125の近縁種だ。一方、写真のキハの側面に描かれているのは、現在大宮の鉄博に展示してある初代1号機関車だ。開業時に官営鉄道から譲受され、後に返還されたそうだ。車体には「日本の1号機関車が走った島原鉄道」と謳われている。昔は国鉄色のキハ17やキハ20が走り、今はJR色のキハ125の兄弟が往来するが、歴とした有明海を巡る九州の私鉄だ。何時までも走り続けてもらいたいものだ。


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  1. 2017/08/09(水) 00:00:00|
  2. 島原鉄道
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

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鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

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