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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

ボンネット型特急の頃

新幹線の九州上陸が目前に迫った
ひかりは西へ そして「はと」は消えた

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1974年11月 山陽本線 宮島口

特急「はと」は、「つばめ」とともに、戦後の東海道メインストリームの花形列車として一世を風靡したことは周知の通りだ。運行乗務は「つばめ」が大阪管理局、「はと」が東京管理局で、「つばめガール」と「はとガール」が乗務して、東西でサービスを競い合ったという。乗車券の購入は困難を極め、ダフ屋が逮捕されたりしている。それも束の間のことで、電車特急「こだま」の登場で151形の時代を迎え、東海道新幹線の開業と山陽路への延伸で、活躍の場は西へと移っていった。写真は山陽新幹線博多開業を目前に控え、岡山-下関間の運行となっていた末期の姿になる。翌1975年3月、「はと」の歴史に幕が降りた。

この宮島口駅は、1897年に山陽鉄道の宮島駅として開業している。さすがは山陽本線だけのことはあって既に123年もの歴史を刻んでいる。現在の宮島口はバリアフリー化されているので、さすがにレール鉄骨の跨線橋は、スマートなエレベーター付きのものに建て替えられているが、ホームの屋根などは写真の頃の骨組みのままのようだ。写真右端のホームが単式で1番線、こちらが島式で3、4番線となっている。2番はというと、両ホームの間にある中線のことをいうようだ。現在はこの中線が撤去され、2番線は幽霊化してしまっている。列車は3番線を広島に向けて通過中で、バックシャンというこになる。

実は、この写真をピックアップしたのは、ホームを往くサラリーマン風の二人の男性が興味深かったからだ。「はと」という平和的なイメージの列車の脇で、高度成長期の企業戦士をイメージさせるお二人だ。中島みゆきの「地上の星」が流れてきそうな颯爽とした足取りで、この時代のサラリーマンの気骨のようなものが伝わってくる。46年という時間が流れた今も、変わらぬ通勤風景が続いているのだが、スマートフォン操作の影響でもあるまいし、少々気持ちが俯き加減になってしまったような気もする。勤め人に限らず、人々が真っ直ぐ胸を張って歩けるような世の中を取り戻さなければという思いがふと過った。


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  1. 2020/11/26(木) 00:00:00|
  2. 山陽本線
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雨の朝

降り続く雨の中朝が明けた
列車は足早に津山へと急ぐ

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2020年10月 姫新線 坪井

この三連休は好天に恵まれ、各地で結構な人出となった。自宅の傍に観光客の巣窟のようなところがあるので、ちょっと覗いてみると、累々と人波が続いていた。コロナ緊急宣言の頃の閑散とした小路が嘘のようだ。日本人は人目を気にする風習なので、自ずと集団的な行動に走りがちだ。外出自粛が規範だった頃は、自粛警察なるものまで現れたが、今では Go To で解放されたのか、経済を回すという大義名分ができたせいか、特に若者ではそう簡単には重症化しないことが知れ渡ったためか、感染急拡大もなんのそので、大した意識と行動の変化だ。

集団免疫しか収束に繋がらないのであれば、ゴールが近づくことになるが、その前に医療が崩壊しないことを願うばかりだ。重症化してもベッドがなければ不安の連鎖が起こるだろう。しかし、自粛ムードにはそう簡単には戻らないはずだ。そこがウィルスの戦略だが、人との繫がりが生き甲斐の方も大勢いるだろう。犠牲者は見ないことにして、そこそこ楽しくやっていこうというのが今の世情だろう。金をばら撒くのが全ての政治家は、生命線の税金に響くようなことはもうしないだろう。体力に自信のない人は、自分の命は自分で守れということだ。

さて、連休明けで憂鬱な方も多いと思うので、駄目押しに雨の画を選んだ。近頃は降れば大降りで、例によって雨粒が写る降りだ。思わず、「しとしとぴっちゃん」のメロディーが頭に流れる。こんなところを自炊車中泊で巡る旅は、コロナとは縁遠いが、申し訳ないが観光業には恩恵をもたらさない。そんな中、「鬼滅の刃」の肖り商法が勢いづくかと思えば、「ヒロシのぼっちキャンプ」が人気だ。余りの過熱状態に、通り道にある無料でキャンプが楽しめる神奈川県中津川の河川敷は、週末ともなれば三蜜状態だ。過ぎたるは猶及ばざるが如しということか。


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  1. 2020/11/24(火) 00:00:00|
  2. 姫新線
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紺碧一人旅

冬型が緩み波が収まってきた
紺碧の日本海に単行キハが往く

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2020年10月 山陰本線 折居

この場所は現役蒸気時代からのかなり有名な撮影名所だ。こあらまが最初にここを訪れたのは47年前のことで、デゴイチの牽く貨物列車を撮った。当時は道の駅も線路端の民家もなく、築堤の内側には田圃や畑もあった。写真の左手奥の斜面から列車を捉えるのが常道だった。今では、盛り土だと思われる道の駅の展望台から、夕日が売りの日本海バックのサイドビューが眺められる、超お手軽なスポットになった。親切なことに列車の通過時間まで掲示されている。しかし、これまでなかなか思い描いた眺望には恵まれなかった。今回やっとイメージに近い画がゲット出来て、人心地が付いたといったところだ。この風景にはやはり短尺のキハ120の単行がお似合いだ。その筋が決して多くはないことも撮影を難しくしている。

さて、「紺碧」とはどんな色なのか。よく、「紺碧の海」とか「紺碧の空」とか表現されるが、果たして海と空は同じ色なのか。この写真はその比較をするのに丁度良い材料だ。海と空の決定的な違いは、緑の波長が含まれるか否かだ。海には明らかに緑を識別できるが、空は純粋な青に近い。「碧」は「あお」とも「みどり」とも読まれ、「緑掛かった青」というのが一般的な解釈だ。つまり、海が「碧い」ことはあっても、空はあくまで「青い」というのが、こあらまの勝手な解釈だ。ところが、「碧空」や「碧天」なる言葉も歴然と存在し、言葉の使われ方は、世に連れ人に連れといったところだろう。ちなみに、数年前のキラキラネームに「碧空」というのがあったが、こちらは「みらん」と読むそうで、サッカーの「ACミラン」が関係しているそうな。


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  1. 2020/11/22(日) 00:00:00|
  2. 山陰本線
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ヨンマル日和

雨上がりの澄んだ空気が爽やかだ
ヨンマルの朱色が朝日の海辺に映える

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2020年10月 山陰本線 宇賀本郷

こんな車輌写真を撮ろうと思って、この駅に控えていたわけではない。車輌ファンだった現役蒸気時代以降は、鉄道風景がお決まりとなっているが、時として車輌ファンに化けることもある。好きな車両がどんどん少なくなって、その機会は減る一方だが、今でも皆無とまでは言えない。おまけに、大嫌いなラッピング車が増殖中だが、鉄道会社の経営の厳しさも一因だろう。好みの車輌が皆無になった時、完全に車輌から解脱した鉄道風景が見えてくるのだろうか。

この朝は雨上がりで空気が澄んでいた。青さを取り戻した日本海の海原は爽やかだった。潮騒の聞こえてくる鄙びたホームで過ごす時間はとても気持ちの良いものだった。そんな小駅に漂う空気間と時間の流れを捉えようと、色々な構図をリハーサルして列車を待った。列車が見えてくると、光線状態の良さも手伝って、単行のヨンマルの美しさにすっかり目を奪われてしまった。予定していたアングルをそこそこに、らしくない車輌撮りに転じてしまったという次第だ。

程々に汚れ、程々に綺麗な山陰のヨンマルだ。向って右側の尾灯の横の2枚の楕円の銘板には、上には日本国有鉄道、下には新潟鉄工所 昭和54年とある。御年41歳のキハ40ということになる。この2000番台はデッキのない暖地向け仕様で、JR西日本在籍車は皆このタイプだ。全車について、冷房化と機関換装がなされているので、オリジナルのDMF15系エンジンの趣はない。機関換装をしてまで長い間使い続けられているのは、やはり国鉄車輌の頑丈さの証明だろう。

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  1. 2020/11/20(金) 00:00:00|
  2. 山陰本線
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錦川鉄道の朝

錦川に秋の朝日が昇った
通学列車が岩国へと向かう

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2020年10月 錦川鉄道 清流線 行波

朝7時半、岩国の高校に通う生徒達が行波駅に集まりだした。皆同じ鞄を提げているので同じ高校へ向かうようだ。男女十数人がホームに集合したところで、35分発の岩国行きの524Dが到着した。既に各駅で通学生徒をピックアップしてきたので、二両編成の車内はかなり騒々しそうだ。この列車の岩国着は8時7分で、所要時間は30分程だ。始発の6時21分発に続く列車で、この2本が朝の通勤通学列車で、この鉄道が最も賑わう時間となる。

この駅は、国鉄岩日線時代はずっと仮乗降場だったが、分割民営化の際に駅に昇格した。今となっては、通学生徒が2桁いれば立派な駅と言えるだろう。錦川に沿って走る錦川清流線は、平地が少なく斜面にへばり付くようにして走っている。集落内に駅を設けるのも一苦労だったに違いない。見通しの良い駅のロケーションはホームの様子を捉えるにはおあつらえ向きだ。左手の鳥居は荒玉社で、境内の枝垂桜が咲く季節に再訪したいところだ。


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ここの車輌も、例によって第三セクターご用達の新潟トランシス製だ。派手なラッピングは今や時流で、避けては通れない。ご丁寧に愛称まで付いている。先頭のピンクには「ひだまり号」、次位のグリーンには「こもれび号」と書いてある。岩日線時代には、C11が貨物列車を牽いていたようだが、無煙化が1967年と早く、残念ながら実物はおろか情報の記憶すらない。終点の錦町から先、山口線の日原までが予定線だったが、未成線の半分以上の六日町までが完成しているというから、無駄遣いも甚だしい。

この鉄道は不思議な鉄道だ。開業以来一度も黒字となったことはないが、廃止が検討されたこともない。錦川鉄道株式会社は、清流線以外にも多角化により多くの収入源があるが、それ以上に、地域住民や自治体によるマイレール意識の強い、とても幸せな鉄道のようだ。


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  1. 2020/11/18(水) 00:00:00|
  2. 錦川鉄道
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

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